2024.07.30 【家電流通総合特集】家電流通 24年後半の戦略 シャープマーケティングジャパン 大山貞代表取締役社長兼ホームソリューション社社長

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付加価値モデルの需要高まる

提案力、販売力を磨く

 2020年のコロナ禍から4年を経て、市場全体の流れが大きく変わったことがある。一つは消費に影響を及ぼす物価の上昇だ。また、内閣府のデータでも明らかなように、一昔前と比べ家電製品の寿命が延びている。

 さらにアフターコロナの局面を迎え、消費のスタイルがアウトドアレジャーや旅行、外食に向き、耐久消費財への支出が減っている。総じて家電にはビハインドの風が吹いている状況だ。

 一方、悪い面ばかりでなく、電気代が高騰していること、SDGsという言葉が一般にも定着し、消費者はコロナ前より省エネへの意識がかなり強まっている。

 従って、買い替える時には少しでも省エネや節水型の商品を選ぶ人が増え、単価は上がってきている。当社も台数ベースは厳しいが、単価は伸びている。

 この上期、手応えがあった商品は「プラズマクラスタードレープフロードライヤー」IB-WX901だ。昨年から新ブランド「Plasmacluster Beauty(プラズマクラスタービューティ)」を立ち上げ、認知を高めたことも奏功している。

 AQUOSについても、今期に入り順調に伸ばしている。他社に先駆け21年に投入したminiLEDバックライト搭載「AQUOS XLED」、23年には最新世代量子ドット有機ELパネル搭載「AQUOS QD-OLED」とフルラインアップで臨み、マーケットの中でも存在感を示せた。

 またコードレススティック掃除機RACTIVE Airも順調だ。市場でスティックタイプの構成比が拡大するなか、当社はサイクロン式、紙パック式とラインアップを増やし、実売も好調に推移している。

 ドラム式洗濯乾燥機は、昨年、一昨年と好調だった反動で踊り場にあるが、タイムパフォーマンス(タイパ)家電への意識は高まっており、今後の推移には期待している。

 またドラム式は23年度省エネ大賞経済産業大臣賞も受賞しており、セールスポイントとしてしっかり訴求していく。

 ヘルシオシリーズでは、ウォーターオーブンが今年20周年を迎えており、いろいろなプロモーションを強化し、秋商戦に向け盛り上げていきたい。

 大型冷蔵庫では、奥行き63センチメートルの薄型で430~550リットルまで充実したラインアップの「Fit63」シリーズが好評だ。日本人の体格(身長)、住居の間取りに、奥行き63センチメートルはちょうど良いサイズとして受け入れられている。

 エアコンではおそうじ機能付き、省エネの中級モデルVシリーズを強化した。高さ24・9センチメートルのスリムタイプで、住宅状況により25センチメートル以下でしか取り付けられないという制限があるところにも適合し、買い替えニーズに応えていきたい。

タイパ需要つかむ

 下期の市場環境は、台数が劇的に増えるということは考えられないものの、付加価値モデルは確実に需要が高まる。またタイパ家電は需要をつかんでいくだろう。

 また世帯構成が変化し1人暮らし、夫婦2人暮らしが増えている。その結果、そこまで大きな商品はいらないが、中型でも機能が優れた商品へのニーズは高まる。下期以降はこうした顧客ニーズに対し、きっちり提案できる営業力を強化していく。

 営業面では、付加価値モデルが選ばれる傾向のなかで、これを売り切る提案力、販売力が問われる。合展、個展をはじめとしたイベント、家電量販店とタイアップしたイベントをしっかり展開しながら付加価値モデルの提案に力を入れたい。

4ボックス

 このため、4ボックス(四つの箱)というコンセプトで臨む。まず販売店の店頭に並べていただく、あるいはWebサイトに掲載していただくこと、次いで、展示いただいた商品にきっちりPOP提案など演出効果を高める、また目につきやすいところに並べていただく、といった取り組みを強める。

 さらに当社の商品をご理解いただけるよう勉強会を開催し、そして実売イベントに取り組むという、この四つのサイクルをしっかり回すことで付加価値モデルの構成比を高めていきたい。

 プロモーションについては、催事に使うイメージキャラクターをサンリオのハローキティに変更した。ハローキティは老若男女問わず人気があり、幅広い世代に訴求効果がある。合展や店頭などさまざまなシーンで活用していく。

 また吉本芸人とのタイアップ、新製品対象のキャッシュバックキャンペーンにもしっかり取り組む。

 販売店に向けては全国14カ所での新製品販促提案会を春・秋と定期的に実施し、新製品を体感いただく機会を設ける。

 オンラインでもシャープ公式YouTubeとして「まるごとシャープ」という動画コンテンツを制作している。番組形式で当社の幅広い商品やサービスについてわかりやすく理解いただけるよう取り組み、今後もさらに積極的な発信に力を入れたい。