2020.06.16 経団連が脱炭素社会を目指すプログラム 約140企業・団体が参加

経団連事務局が入る経団連会館

チャレンジ・ゼロを通じた連携のイメージチャレンジ・ゼロを通じた連携のイメージ

 経団連は、気候変動問題の対応として、企業自らが脱炭素社会を目指すためのプロジェクト「チャレンジ・ゼロ」を立ち上げた。約140の加盟企業や団体が参加し、具体的な取り組み例などの紹介も始めた。

 経団連では、近年の異常気象の増加などを踏まえて、気候変動問題が喫緊の課題になっているとして、経済界も、脱炭素社会の実現に向けたイノベーションに積極的にチャレンジする必要があると判断。企業などが挑戦する取り組みを、国内外に発信して後押ししていくことにした。

 プロジェクトでは、「脱炭素社会の実現に貢献するイノベーションを果敢に挑戦していくことを、ここに宣言する」としたチャンレジ・ゼロ宣言を取りまとめ、20年1-3月にかけて、会員企業・団体に賛同を募ってきた。

 これまでのところ、全加盟数約1600企業・団体のうち、大手を中心に1割弱が参加を決めている。

 宣言文では「今や、脱炭素社会への挑戦は重要な経営課題であり、持続可能な成長と企業価値向上の必須の条件である」とし、「経済界は、イノベーションの主たる担い手として果たすべき役割の重要性を改めて強く認識」する必要性などを指摘している。

 経団連は事務局環境エネルギー本部内にチャレンジ・ゼロ推進室を新設。

 6月8日に新プロジェクトを立ち上げて、特設ウェブサイトも開設し、企業の積極的な305の取り組み事例を、内容に応じて「開発」「普及・実装」などに区分けして紹介を始めた。

 取り上げた事例は、省エネや燃料転換、環境に良い効果を与える投資への資金提供「グリーンファイナンス」など、多岐に及ぶ。

 例えば、20年5月に環境長期目標「ゼロカーボン・チャレンジ2050」を策定した東日本旅客鉄道では、50年度の鉄道事業で、二酸化炭素(CO₂)排出量の実質ゼロに挑戦する。

 「多くのエネルギーを使用する鉄道事業者の使命」と位置付け、CO₂フリー水素の発電設備導入や、蓄電池車や燃料電池車の技術開発を進めることなどを掲げている。

 プログラムでは今後、参加企業や事例を募りながら、英語版のウェブサイトやパンフレットを作成。政府とも連携しながら、シンポジウムなども開催していく。適切な資金の流入も重要だとして、ESG投資などの呼び込みも図っていく。

 経団連の担当者は「企業単独ではできないことも多々あり、産官学の共同も促していく。政府に対しても必要な施策を求めていきたい」と話している。

 特設ウェブサイトのアドレスは、http://www.challenge-zero.jp/