2024.09.25 【汎用インバーター特集】東芝産業機器システム 新開発モーターに特化 駆動用インバーターを投入

シンクロナスリラクタンスモータ

専用インバーターのVF-S15R専用インバーターのVF-S15R

 東芝産業機器システムは、産業分野全般にわたる産業用モーターや「TOSVERT VFシリーズ」などの産業用インバーターといった高効率/省エネ機器・システムの品ぞろえを充実させて、ユーザーからのさまざまなニーズに対応している。

 カーボンニュートラル社会の実現をいかにして推進するかは、産業界としても課題となっている。産業機械の動力となるモーターは消費電力が大きい。モーターを制御することで省エネ効果を得られるインバーターは、さらなる普及・導入が期待される。

 同社は、高効率で消費電力を削減するモーター「シンクロナスリラクタンスモータ」を新たに開発した。モーターの回転子部分にレアアースである磁石を使用していないことが特長。回転子部に発生する損失を極小化し、従来の誘導モーターに比べ、より高効率化を図ることができる。

 レアアースは、スマートフォンやパソコン(PC)、EV(電気自動車)などに必要不可欠な材料であり、今後さらなる希少化や価格の高騰が予測される。レアアースを使用しないことで、安定した供給につながる。

 モーターの効率レベルは、国際電気標準会議(IEC)で規定されている。日本では2015年に「エネルギーの使用と合理化に関する法律」が改正され、モーターの製造事業者が出荷や輸入するモーターは、同法の基準を満たさなくてはならなくなった。現在は「IE3」レベルで、IE1やIE2からの切り替えが進んでいる。

 シンクロナスリラクタンスモータは、IE3の2ランク上のIE5相当の効率化を達成。IE3と同一枠番号のフレームを採用しており、従来のモーターからの置き換えも容易だ。

 今回、新モーターの可変速駆動に特化した駆動用インバーター「TOSVERT VF-S15R」を開発した。シンクロナスリラクタンスモータを稼働するのに必須のインバーターであり、専用のソフトウエアを搭載し、滑らかで高精度な運転を可能とした。

 モーターを導入する企業にとって、新モーターへの切り替えは負担となるが、同社の試算によると、3.7kWのIE1モーターから置き換えた場合、稼働状況にもよるが、省エネ効果で1~2年で初期投資を回収できるという。電気代の高騰が続く中、長期的にみればランニングコストを抑えられるなど、メリットが生じるとする。コスト削減に加え、SDGsを掲げる企業などへの導入を進めていく。