2024.09.26 【関西エレクトロニクス産業特集】分野別動向 次世代モビリティー

自動運転が実用化に向けて進んでいる(NTT西日本とマクニカのイベントで)

空飛ぶクルマの商用化に力

バスや鉄道など自動運転開発進む

 関西・万博の開幕に向けて、次世代モビリティーの開発が進んでいる。各社は関連企業と連携して新たなモビリティーを地域のラストワンマイルに使用するだけでなく、観光の足としても活用しようとしている。空飛ぶクルマ、自動運転モビリティーなどが省人化、省エネ、安全面に貢献する乗り物になりつつある。

 大阪メトロとSkyDrive(愛知県豊田市)は8月、大阪・関西万博後の大阪エリアでの空飛ぶクルマの社会実装を目指し、事業化に向けた検討を行うことを目的に資本・業務提携すると発表した。SkyDriveの福澤知浩CEOは「万博でのデモフライトに向けて開発も順調に進んでいる。大阪の移動価値の向上につなげたい」と話す。

 大阪メトロは、大阪・関西万博会場や2028年に開設する森之宮新駅(仮称)で空飛ぶクルマの発着場の整備を目指す。また、専属組織を10月に立ち上げ、知見を高める。

 SkyDriveは万博会場でのデモフライトを目指して開発を進めている。商用化は26年以降に実施する方針だ。

 NTT西日本とマクニカなどは8月、自動運転モビリティーを手掛ける仏Navya Mobility SASへの共同出資に関する契約を締結した。関連して同月下旬、大阪市都島区のNTT西日本のオープンイノベーション施設において、イベント「次世代モビリティDAY 2024」を開催。会場には自動運転EVバスなども登場し、機運を盛り上げた。

 両社は昨年8月、次世代の地域交通システムで提携。今回の両社の出資で、自動運転車両・自動運転システムの開発力、提供能力を含めたサプライチェーンの上流から下流までトータルで提案できる体制となった。

 イベントでは自動運転EVバスや遠隔監視システムを稼働した。マクニカによる自動運転の支援実績は定常運行で6地域となっている。また、遠隔モビリティー管理システムを開発している。

 JR西日本は18日、山陽新幹線で30年代に自動運転の開始を目指すことを発表した。山陽新幹線で、JR東海の技術協力を得て、30年代に自動運転(GOA2)を開始する。GOA2は、運転士がボタンを押すことで出発し、リアルタイムに演算を行い、所定時刻に途中駅を通過するとともに到着駅へ自動で停止する。運転士の業務量を削減し、駅発着時のホーム上の安全確認に注力できるなど、さらなる安全性向上を実現できるという。