2024.09.30 「渋滞検知や予測も可能」 光通信で交通量「見える化」 NTTが実証

交通流の広域モニタリング結果

IOWNを利用した広域光ファイバーセンシングIOWNを利用した広域光ファイバーセンシング

IOWN APNを介して光ファイバーセンシングを実施するための接続構成IOWN APNを介して光ファイバーセンシングを実施するための接続構成

 NTTは30日、端末からサーバーまで全てを光信号で伝えるオールフォトニクス・ネットワーク(APN)と、光ファイバーの状態を測定するセンシング技術を組み合わせ、一般道路の交通流モニタリングを実現する技術を開発したと発表した。大阪市内で既設の通信用光ファイバー網を使って交通状況をリアルタイムに可視化し傾向分析などを行えることを実証。今後、インフラ監視や防災への応用展開につなげたい考えだ。

 「広域から収集する交通情報を活用した渋滞検知・予測や、都市交通計画への適用など都市モニタリングを低コストでフレキシブルに実現できる」。NTTアクセスサービスシステム研究所アクセス運用プロジェクトの飯田大輔主任研究員はこう胸を張る。

  今回の実証は、NTT東日本・西日本、NECの4社共同で昨年末から7月にかけて実施した。NTTが開発を進める光技術の次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」による「APNゲートウェイ」(APN-G)を活用。往復するセンシング光を取り出せるAPN-Gと光ファイバーセンシング装置の接続構成を考案した。

 実証の結果、年末年始の大阪市内の埋立地で3つのルートの交通量をみると、年末年始は生活道路の台数が急激に増えた一方、産業道路の台数が減るといった傾向がモニターできたという。

 今回の結果を受け、将来的にはインフラ監視や防災のほか、自然環境を取り入れた都市計画などへの応用も見据え、研究開発を進めることにしている。

 光ファイバーセンシングは、通信用の光ファイバーの片側にセンシング装置を接続してセンシング用の光を入れると、ガラス製のファイバー内のあちこちを反射しながら戻ってくる反射光を利用する。反射光が戻ってくる時間を計測することで、反射光の変化の具合から温度変化や伸縮、振動などの物理的な状態変化を推定し、ファイバーのどの位置でどのような状態変化が起きているかを分布的に測定できる。