2024.10.25 【育成のとびら】〈36〉内定者が企業に求めるサポート 「先輩社員との関係築く機会」「知識・スキル教えてほしい」

 内定者は入社に向けて、「期待」よりも「不安」の気持ちの方が大きいことに前回触れた。

 就職活動が早まり入社までの期間が伸びつつある中、不安を払拭するために企業側は入社前に具体的な支援を示すことが必要だとも説明した。

 今回は、当社ALL DIFFERENTとラーニングイノベーション総合研究所が2023年10~12月に行った意識調査の結果から、もう一段踏み込んだ内定者の意向を探る。

 意識調査で「入社後、どのような壁(困難)に直面すると思うか」と質問したところ、51.9%が「仕事が難しい」、47.6%が「生活リズムの変化」と回答している。

 想定される壁に対し、どのようなサポートを会社に求めているのか質問したところ、仕事の難易度の壁については、「先輩社員との人間関係を築く機会がほしい」(56.0%)、「業界の専門知識や専門スキルを教えてほしい」(55.0%)、「マナーや仕事の進め方など、社会人の基礎を教えてほしい」(50.7%)が上位で、いずれの回答割合も半数を超えた(図1)。

 一方、生活リズムの変化の壁に対しては、「先輩社員との人間関係を築く機会がほしい」(56.8%)、「マナーや仕事の進め方など、社会人の基礎を教えてほしい」(54.2%)、「ほかの内定者との人間関係を築く機会がほしい」(51.6%)が特に高かった(図2)。「業界の専門知識や専門スキルを教えてほしい」(49.5%)、「心構えや生活習慣など、入社前に身に付けておくべきことを教えてほしい」(40.1%)の割合も高い。

 これらは方向性の異なる壁だが、どちらも先輩社員との人間関係の構築が解決の糸口になると考えている内定者は多いことがみてとれる。

事前学習の機会

 入社に対する不安を解消し、前向きな期待を醸成するためには、座談会などの開催が有効だろう。

 先輩社員から1年目時代の経験談などを聞くことで、自分自身が働く姿や困難を乗り越えるイメージを内定者が持ちやすくなる。さらに交流を通じて社内に見知った人脈ができることで、未知のステージへの漠然とした不安を和らげる効果も期待できる。

 マナーなど、社会人の基礎、業界の専門知識やスキルを学ぶことで、壁を乗り越えやすくなると考えている内定者も少なくない。

 Z世代は一般的に、自らが経験する前に全体像や成功ポイントを知っておきたいという「経験前学習」志向が強いと言われている。事前学習なしに経験を強要された場合、大きな不安を生む可能性もある。

 「あらかじめ知っておきたい」という欲求を踏まえ、企業側は内定者に対する適切な知識やスキルをインプットできるような環境づくりの検討が必要になる。(つづく)

 〈執筆構成=ALL DIFFERENT〉

 【次回は11月第2週に掲載予定】