2024.11.20 【EdgeTech+特集】ニチコン サイクル長寿命など特長 小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」を提供
小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」
ニチコンはIoT市場向けに、サイクル長寿命、微弱電流充電、そして安全性に優れた小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」を提供している。
同シリーズは、負極にチタン酸リチウム(LTO)を使用することで、電気二重層コンデンサー(EDLC)と同等の高い入出力密度を実現。また、20Cレートでの急速な充放電にも対応でき、数万サイクルもの充放電を繰り返しても容量劣化が小さい耐久性を持っている。
さらに、一般的なリチウムイオン二次電池では難しいマイナス30度の低温環境でも動作できる優れた特性があり、室内光発電や振動発電などの低レート(0.01C)の微弱電流充電にも対応可能だ。また、短絡や劣化の原因となるリチウム金属の析出が少ないため、発煙・発火のリスクも非常に低い。これらの特性から、同シリーズはIoTの主電源やバックアップ電源に最適な蓄電デバイスと言える。
環境発電デバイスと二次電池を組み合わせた電源の設計は、多くの設計工数を必要とするが、同社は設計をサポートする評価ボードも提供。この評価ボードに同シリーズを取り付け、室内光発電や振動発電などの発電デバイスを接続するだけで、簡単に環境発電による電源を作ることができる。
評価ボードにはパワーマネジメントIC(PMIC)を内蔵。使用する発電素子に合わせて電力収集効率を最適化する機能を搭載しているだけでなく、二つの電源出力を持っているため、アプリケーションに合わせて最適な使い方を選ぶことができる。
同シリーズは、環境発電を利用したメンテナンスフリーなワイヤレスIoTエッジデバイスの実現やハイレート放電特性と繰り返しの充放電に強い特性を生かしたデータ通信用途などに適している。
このほか、高度成長期に建築されて老朽化が進んでいる橋などの状態を把握するインフラモニタリングや、使い捨ての一次電池が主流の電子棚札、環境センシングなどのアプリケーションにも、このSLBシリーズは有望な蓄電デバイスとして注目されている。