2024.11.20 さくらインターネットがクラウド検定で人材育成強化 新人教育、学び直し支援

さくらインターネットの松田本部長、髙橋執行役員、テクニカルソリューション本部の戸倉大輔氏(左から)

「さくらのクラウド検定」の合格証書(サンプル)「さくらのクラウド検定」の合格証書(サンプル)

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 デジタルインフラサービスを提供するさくらインターネットは、独自の検定試験「さくらのクラウド検定」を立ち上げ、デジタル人材の育成に力を入れている。米巨大IT企業のクラウドサービスに国内市場が席巻されている現状を踏まえ、IT技術の基礎から学んでもらうことでITの底上げを図り、国産クラウドを強化するのが狙いだ。企業の新人教育やリスキリング(学び直し)での活用も加速させたい考え。

 国内のデジタル人材不足は数年来の課題となっており、国際間競争を勝ち抜くためにもデジタルトランスフォーメーション(DX)を担う人材の育成が急務となっている。

 そこでITインフラやデジタルサービスのノウハウを持つさくらインターネットは4月にクラウド検定の設立を発表。人材育成に乗り出すことになった。

 オンライン教材開発を手掛けるzero to one(仙台市若林区)が運営する教育用プラットフォームを活用し、デジタル技術を基礎から学べる無料のオンライン教材を特設サイトで公開。さくらインターネットのサービス、さくらのクラウドでのアーキテクチャー設計など専門的な内容も含めた予想問題を毎週SNS「X」で出題するなど受検者の知識習得を支援してきた。

オンラインで試験

 試験は全てオンライン上で行い、60分で100問程度を出題。受検費用は一般が税込み1万1000円、学生は同3300円。

 9月末に実施した初回試験は336人が受験し、242人が合格(合格率約72%)。受検者の大半が一般で、学生は10人程度だった。

 テクニカルソリューション本部の松田貴志本部長は「クラウドシフトは企業にとって欠かせない取り組みになる中、デジタル技術のリスキリングを目指す会社員が増えている」と分析。今後、大学や高等専門学校などでもさくらのクラウド検定のPRを強化し、学生の受検者数拡大を目指す。

 第2回試験は12月13、14日に開催し、来年も3カ月ごとに実施する予定だ。髙橋隆行執行役員は「将来的には2万~3万人の合格者を出し、デジタル技術の習得に必要な資格と位置付けてもらえる試験に育てていきたい」と意気込む。

 当面は日本語のみだが、英語対応も検討し東南アジアを中心に海外展開も視野に入れている。