2025.01.09 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2025年の経営戦略 電子工業 鈴木仁社長
鈴木 社長
車載を中心に事業戦略を推進
当社の売り上げに占める車載比率は約85%。最近はEV(電気自動車)市場が低迷しているが、ゆくゆくはEV化がさらに進む見通しのため、EV向けの開発は緩めていない。
米国のトランプ政権誕生により、世界は変わっていくだろう。中国やメキシコなどだけでなく、日本に対する関税もどのようになるか分からない。どの国も米国向け輸出では苦労することになると思う。産機市場は2025年も厳しさが続くと見ている。産機市場の本格的な回復は、中国の景気が戻ってこないと難しい。米国の景気は、25年は24年よりも良くなると思う。
今後も車載を中心とした事業戦略を進める。EV向けに積極的に取り組み、EVパワートレイン系やセーフティー系などの開発を推進する。インダストリアル市場向けは製品の品ぞろえを強化し、グローバルな商社などとの連携強化に努める。最近は車載用に開発した高速伝送用コネクターがインダストリアル分野で採用されることもあるため、今後も増やしていきたい。半導体製造装置分野への展開も推進する。
24年秋に新工場の秋田工場(秋田県横手市)を竣工(しゅんこう)し、4月の本格量産開始を予定している。プレス、成型、組み立て、めっきを含むコネクター一貫生産工場となる。秋田工場を急ピッチで立ち上げることに注力する。
当社の工場はどの工場でも同様の製品を作ることができるのが特徴。秋田工場開設でBCP(事業継続計画)への対応が完成する。
24年4月から新ERPが稼働し、ようやく落ち着いてきた。今後も改良しながら運用を進める。25年度以降、徐々に収益に貢献していくと考えている。
今後も生産性向上に力を注ぐ。地産地消を強化し、地産地消率を上げるため、工場ごとの最適化を図る。
環境対応ではCO₂排出量削減のため、国内ではグリーン電力への切り替えや工場への太陽光発電設置などを進めている。まずは消費電力を削減するため、工場のコンプレッサーの省エネタイプへの切り替えなどを行っている。樹脂のバイオマス化の研究や、梱包(こんぽう)材プラスチックの生分解性プラスチックへの置き換えなども進める。