2025.01.16 「残業は10~30時間」 半導体業界の若手社員に聞く トレックス・セミコンダクター②

左から青木さん、満石さん、岸本さん、牧野さん、田端さん

 今、成長分野として注目を集めている半導体業界で働く若い世代の声を届ける企画。電源ICを手掛けるファブレス、トレックス・セミコンダクターの若手社員5人にインタビューを行った。全3回のうち2回目となる今回は、半導体メーカーで働く中での苦労や働き方といった、彼らの「今」について聞いた。 

【ご協力いただいた若手社員の皆さん(五十音順)】

青木洸太(あおき・こうた)さん 3年目 設計・開発を担当
岸本琉壱(きしもと・るい)さん 1年目 プロセス技術を担当
田端樹(たばた・いつき)さん  3年目 設計・開発を担当
牧野賀成(まきの・かなる)さん 2年目 設計・開発を担当
満石海(みついし・かい)さん  1年目 設計・開発を担当

「好きな仕事だから苦にならない」

―休日や残業など、現在の働き方について教えてください。

 青木さん 設計部門はスケジュールに左右される面が大きく、納期直前はどうしても残業になります。それでも、基本的には月10~30時間の残業に収まります。

 満石さん 私は1年目なのでどうしてもほかの人より作業に時間がかかり、残業になってしまうこともあります。ただ、自分自身好きでやっているので、あまり苦にならないですね。

 牧野さん 私も好きな仕事です。基本的に土日祝日は休めますが、休日を回路の勉強に充てることも。勤務時間はフレックスタイム制なので、朝早く出社し夕方に帰る日もあります。

不安の中でも着実に成長

―半導体メーカーに入社して苦労したことや、それを乗り越えた経験を教えてください。

 牧野さん 市場調査として展示会に行ったとき、「トレックスの一売りは何?」と聞かれて、うまく答えられなかった時は後悔しました。普段外部の方と関わる機会が少ない業務ですが、そういう場合にはきちんと勉強した上で臨みたいと考えるようになりました。

 岸本さん 1回の失敗のリスクが大きい仕事は、失敗を経験し注意するようになりました。ウエハーの検査に使うプローブカードの針を曲げてしまい、修理に出さなければならなくなったことがあったので、確認事項を増やすようにしています。

 田端さん これは今も苦労していることですが、入社前に思っていたよりずっと集積回路の規模が大きく、トランジスタ数が多いので、「あと5年や10年で本当に一人前になれるのか」という不安は、勉強しながら常に感じています。

岸本琉壱さん

―そうした苦労もありながら、半導体に魅力を感じているのはどういうところですか。

 青木さん 特に弊社が強みとする電源ICは、それがないと動かない「心臓」で、私はそれがかっこいいと感じています。

 満石さん 人間がギリギリ見えるくらいの小さいICがちゃんと機能しており、しかもその中に何千個もの素子が入っていることが、純粋に面白いです。

 岸本さん 私の所属するプロセス部門で扱うのは回路を構成する素子で、素子一つ一つでも難しいことが多いのに、それで作った回路もまた別の難しさがあります。そういう一筋縄ではいかない分野だからこそ、面白いと思っています。

【トレックス・セミコンダクターについて】

 トレックス・セミコンダクターは、アナログ半導体である電源ICを主に手掛ける。工場がなく、設計開発を行うファブレス企業。1995年設立で、今年30周年を迎える。本社は東京都中央区。