2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 東芝ITサービス 多田智紀社長
SI企業との協業進む
セキュリティーを軸に展開
2024年度は①東芝グループ連携の強化②パートナー戦略の強化③新サービスの強化―の三つを重点施策に掲げた。東芝デジタルソリューションズグループで保守サポートを進める中核企業として、東芝グループが注力する社会インフラやエネルギー、半導体の事業領域をサポートサービスの立場で支援できる体制を整えている。
売り上げの約半分を占める外部パートナー戦略も重要で、外資系ベンダーとの提携をはじめ、国内大手SI企業との協業も進んできている。当社は全国112拠点、約300人のCSE(カスタマーサティスファクションエンジニア)、約330人の運用エンジニアが24時間365日保守運用支援できる体制を持つ。この数年は保守網を生かした第三者(サードパーティー)保守も拡大してきた。主要ベンダー2社と提携した第三者保守は順調に拡大し、既存保守の落ち込みを補うまでになってきている。
新サービスではセキュリティーを軸に展開していく。22年にコンタクトセンターとSOC(セキュリティー運用センター)を移転増床し最新設備で運用を始めている。24年4月にはセキュリティ&ネットワークサービス推進室を立ち上げグループ内外のセキュリティー支援を開始。東芝グループの世界10万台のパソコンのセキュリティー監視をするとともに24年度から東芝グループ工場のネットワークセキュリティー支援も始めた。今後、グループのセキュリティー運用監視を当社が全面的に支援していきたい。
東芝グループが展開するサービスにセキュリティーサービスを組み合わせた展開も進める。当社はITと工場などのOT(運用制御技術)セキュリティーの知見を持つため、重要インフラ向けの支援もしていく計画だ。
23年に開設した顧客向け情報共有サイト「お客様ポータルサイト」も本格的に運用を始めた。保守情報を集約しておりCSEの保守対応に生かすとともに第三者保守でも活用を始めている。今後はコンタクトセンターで進めるCSEの自動ディスパッチ(派遣)の仕組みと融合し高度な保守対応を実現していく。生成AIの活用も進める。マイクロソフトのコパイロットの活用を進め各部門で最適な活用を見いだしていく。保守対応の高品質化と効率化にも生かせるとみている。
25年も官公庁などの大型案件の展開が継続していくため基本施策を変えず、その先を見据えた施策を打っていく。保守運用サービスの高度化をさらに進めるとともにセキュリティーはパートナー連携を含め拡大したい。現在、当社独自のセキュリティー基盤を構築中で25年度に稼働させる。この基盤上に当社独自のセキュリティーサービスを載せていく計画だ。