2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 OKIクロステック 冨澤博志社長
医療とGXの案件増加
部分導入から全社導入へ
2025年は成長領域として掲げる医療機器の保守サポートと、エネルギー関連のグリーントランスフォーメーション(GX)を引き続き強化し規模を拡大させる施策を打つとともに、デジタル技術を活用した生産性向上に取り組んでいく。
電気工事をはじめとしたSIと、OKIグループ内外の機器の保守運用を行うサポートサービスの主力2事業は24年度、計画以上で推移している。SIはビル建設に伴う電気工事や蛍光灯の製造中止に伴うLED照明への入れ替え工事の案件が旺盛で対応に追われた。サポートサービスは24年7月の新札対応と大手金融機関の窓口端末の更新案件の対応を進めた。
医療とGXも案件が増えてきている。全国180拠点、1200人のカスタマーエンジニア(CE)が24時間365日保守運用できる体制を整え、離島も含め4時間以内に駆けつけることが強みだ。医療保守できる資格者も全国に300人規模で配備し約600人が医療機器を保守できる。全国に保守網を持たないメーカーからの引き合いも多い。新規契約企業が毎年10社程度増え、24年度も既に約5社と契約。これまでに約40社と提携している。7月には遠隔医療システムを提供するウィーメックスとも提携。離島での保守対応が評価された。
GXは、OKI本庄工場で構築運用しているZEB(ネットゼロエネルギービル)の経験を生かし、太陽光発電システム、蓄電池、電気自動車(EV)を組み合わせた制御システムを構築できることが強みだ。昨年はEV普通充電設備メーカーの保守提携に加え急速充電設備メーカーとも提携した。太陽光発電システムはビルの壁にも貼り付けられるフレキシブルパネルの販売に取り組み実績も増えてきた。今後はフレキシブルパネルを使ったエネルギーマネジメントシステムの検証に取り組んでいく。
25年は成長2事業を部分導入から全社導入できるようにしたい。医療は一部地域での保守対応を全国規模に展開できるような提案を進める。あわせて生産性の向上も進めていく。労働人口が減少する半面でサポート業務は多様化してくるため社内業務プロセスの改善も必要になる。10月から全社横断の「RPA・AI業務効率化プロジェクト」を立ち上げた。当社コンタクトセンターでRPAを導入し年2億円規模の効率化を図った。この知見を生かし社内に横展開していく計画だ。
AIを活用したCEの支援にも取り組む。既にCE約1000人にタブレット端末を配布し、保守支援のデジタル化を進めている。保守データも蓄積できているため生成AIを活用した保守支援を進め社内全体でAIリテラシーを高めていきたいと考えている。