2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 NSW 多田尚二社長
工場のスマート化支援
生成AI活用で生産性向上
2024年度はDXファーストと共創を掲げた中期経営計画の最終年度となる。中計で掲げていた売り上げ500億円は23年度に1年前倒しで達成した。最終年度の上期も一部事業領域で厳しさもあったが、売り上げ、営業利益ともに増収増益で過去最高を達成できている。通期はさらに収益を積み上げながら、次期中期経営計画の検討を進めていく。
当社はデバイスや組み込みシステム(エンベデッド)からSI、サービスまで全方位で支援できることを強みに企業や官公庁が抱える課題の解決に向け支援してきている。
足元までの事業環境を見ると、企業向けは製造や物流向けが堅調に推移しているほか、DX関連は順調に拡大している。IoTは製造業向けで伸び、昨年戦略投資したRealWear社のスマートグラスの導入も進んできた。クラウドも堅調だ。不採算案件の影響が一部残ったが、上期中に引き当てを済ませたため、今後のリスクは最小になるとみている。
エンベデッド関連は自動車向けが好調に推移している。自動運転技術の搭載が進んでいることもあり、底堅い需要に支えられている。一方のデバイスは、半導体は堅調だが、開発や設計、テストは伸び悩んでいる。一部の主要顧客の投資抑制などがあり、売り上げは鈍化している状況だがこの先は回復する見通しだ。
今年度は製造業のデジタル化への投資が始まり、新たにスマートファクトリーの案件を獲得した。グローバル展開している製造業では、世界の工場を標準化していく取り組みが始まっており当社が前面に立って工場のスマート化に向けた支援をしていく。システム開発は標準システムに合わせる「フィット・ツー・スタンダード」に向かいつつあり、こうした案件の動きは活発化している。
AIの活用も本格的に始めている。全社横断のAIチームが中心になり開発工程での活用や業務効率化など社内利用を進めてきたが、今年1月から新たに「NSW-GPT」をリリースし全社展開を本格的に始める。事務の効率化をはじめ、開発の生産性向上に向け生成AIを適用していく。RealWearのスマートグラスとAIを組み合わせた作業支援の仕組みの提案も始めている。
24年度は売り上げ520億円、営業利益60億円を計画している。足元の受注は堅調だが一部で不透明感もある。予断を許さない状況だが確実に案件を刈り取り12期連続の増収増益で着地させたい。併せて次期中計に向けた計画立案も進める。改めて事業内容を精査し選択と集中をする。当社がノウハウを持つ強い領域にリソースをシフトしていくとともに生成AIの本格活用で生産性を上げ、事業全体の最適化を図っていく。