2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 リコー 大山晃社長
ワークプレイスの課題を解決
AIなど最新技術活用
2024年は外部環境が大きく変化した。世界経済を見渡すと、インフレの鎮静化に伴い力強さを欠くとは言え堅調な成長を続けている一方で、国際情勢は不安定な状態が続いている。こうした中、働き方改革、企業のDX化は着実に進んだ。コロナ禍以降、活用が大幅に増えたリモートワーク主体の働き方から、在宅とオフィスのハイブリッドな働き方が定着。大手企業が先行したDXも中小企業へ広がりを見せた。
リコーグループでは、従来のオフィスに限らず、働く人がいるあらゆる場所や空間を「ワークプレイス」と捉え、社会課題をデジタルの力で解決し、働く人の生み出す力、創造力の発揮を支援していく。
当社の24年度業績は、先行投資の企業価値向上プロジェクト費用を除くと、ほぼ期初見通し通りで推移している。先行投資では、「選択と集中」を行い、いろいろな経営資源を成長領域へシフトした。デジタルサービスの会社への変革のため、オフィスプリンティング事業の収益を守りながらリソースを活用し、利益成長を目指している。
この一環として、オフィスプリンティングのスケールメリット、効率化を図るため、予定通り昨年7月に東芝テックと「エトリア」を設立した。シナジー創出に向けた施策の推進、共通エンジンの開発やお互いの良いところを連携させる。今後、業績的にも貢献が期待される。
ストックビジネスが堅調な伸びを見せている。昨年4月に買収したNatif.ai社のAI(人工知能)技術とDocuWare社の製品を組み合わせた案件を獲得したほか、経済産業省の生成AI開発力強化プロジェクト「GENIAC」にも採択された。
25年は、第21次中期経営戦略の最終年であり、デジタルサービスの会社への変革に向け、施策の実用・完遂に徹底的にこだわっていく。収益力の向上が鍵を握っている。「ワークプレイスサービスプロバイダー」として、AIをはじめとしたテクノロジーを活用し、お客さまとの信頼関係や業種・業務の知識を生かして課題解決を行っていく。
また、これを実行するのは、社員にほかならない。お客さまに寄り添い続け、変化するお客さまの課題に適応していくため、一人一人が自律的に力を発揮できる多様性を生かした組織づくりをさらに進めている。
リコーグループは「ESGと事業成長の同軸化」を方針に掲げている。ESGを非財務ではなく、数年後の財務につながる「将来財務」と位置付け、デジタルサービスの提供によるお客さまの生産性向上や創造性の発揮の支援、環境に配慮した製品・サービスの提供など、事業を通じて社会課題を解決し、さらなる企業価値向上を図っていく。