2025.01.21 【半導体/エレクトロニクス商社特集】エレクトロニクス商社 25年の経営戦略 ネクスティエレクトロニクス 柿原安博社長
柿原 社長
サプライチェーンリスク見える化
ネクスティエレクトロニクスは、豊田通商グループで電子デバイス事業の中核を担う。オートモーティブを主要分野とし、半導体・電子部品・モジュールの販売から、組み込みソフトウエアの開発、試作設計開発・量産支援まで幅広く事業を展開する。
柿原安博社長は2024年度について「業績は円安の影響で数字的にはプラスで推移。23年度と比較して悪くはなっていない」と説明する。EV(電気自動車)シフトは鈍化しているものの、イメージセンサーをはじめ、ADAS(先進運転支援システム)関連の引き合いが好調に推移している。
産業機器向けを中心に半導体市場は調整局面が継続しているが、「自動車業界はそれほど在庫を持たなかったのでは。在庫の消化はほぼ終わり、実需に戻ってきている。中間在庫はまだ多いが、他の業界と比較すると調整の終わりは見えてきた」(柿原社長)。
外部環境で不透明感が高まる中、足場固めを重視。強化ポイントとしてサプライチェーンリスクの見える化を据える。
新型コロナウイルスの感染拡大はサプライチェーンを寸断し、半導体不足や物流の混乱を招いた。柿原社長は「今だからこそ、トレーサビリティー(生産履歴の追跡)を含めて堅固な仕組みを構築するべき。実需に合わせた在庫オペレーションを半導体メーカーに示せれば、優先的に半導体を供給してもらえる」と述べ、ベースになるデータベースの構築を進めている。
海外では中国市場の動向を注視する一方、成長著しいインド市場を強化する。同社は23年11月にベンガルールオフィスにテクノロジーセンターを新設。自動車メーカーの増産に合わせ、サポート体制を拡充する方針だ。
生成AI(人工知能)向けのGPU(画像処理装置)はビジネスチャンス。昨年4月、モビリティー業界でのAI開発を支援するため、米エヌビディア製品を活用した実証環境の提供を開始した。
自社での生成AI活用もポイントになる。柿原社長は「業務革新をはじめ、全ての面で生成AIの活用を25年の方針に入れていきたい」と話す。