2025.01.21 【半導体/エレクトロニクス商社特集】半導体製造装置

市場は拡大局面 AIけん引

日本製装置、初の4兆円超えも

 半導体製造装置市場は拡大局面に入った。国内の半導体製造装置メーカーの販売高合計は、2024年に入り前年同期を上回っている。スマートフォン市場の低迷、EV(電気自動車)シフトの鈍化の中、AI(人工知能)向け需要が業績をけん引しており、製造装置メーカー大手は活況に沸いた。製造装置の需要予測も好調な伸長を示す。

 半導体製造装置市場は拡大局面に移行した。日本半導体製造装置協会(SEAJ)によると、日本製半導体製造装置の毎月の販売高(輸出含む)は、23年6~12月は前年同月を下回り続け、年間を通して低調だった。その傾向は24年に入り反転。販売高が11カ月連続で前年同月を上回っている。

 これまで半導体市場をけん引してきたスマホは成長の鈍化を示し、本格的な回復が待たれている。加えて、EVシフトには一服感がある。

 その一方で市場をけん引しているのがAI向け半導体だ。生成AIの普及により高い成長を示す。生成AIには大量のデータ処理が必要であり、GPU(画像処理半導体)をはじめとした高性能演算処理が可能なロジック、高速でデータ転送が可能なDRAMの新規格「DDR5」、HBM(高帯域幅メモリー)など高性能メモリーが必要とされる。

 半導体製造装置メーカーの上場主要各社では、24年7~9月の業績で大幅な増収となった企業が目立った。生成AI関連の需要が増加し、最新の設備や技術へのニーズが装置メーカーに好影響を与えた格好だ。

 半導体製造装置の需要予測では、日本製装置の販売高は24年度に増加に転じ、前年度比20%増の4兆4371億円と、初の4兆円超えを見込む。

 24年度以降の需要予測は、25年度が同5%増の4兆6590億円、26年度が同10%増の5兆1249億円。4兆円から2年での5兆円台到達を視野に入れる。

米中対立に懸念

 懸念されるのは米中対立の激化だ。半導体製造装置では、22年10月に米国による対中規制強化、23年7月に日本、同9月にオランダで輸出管理の厳格化が始まった。トランプ氏の大統領就任が今後、どう影響するかに関心が集まる。

 中国は製造業で内製化を進めており、汎用(はんよう)半導体の製造装置では重要な市場。国内装置メーカーの売り上げにおける中国のウエートも総じて高い。国際政治の影響を色濃く受ける状況を見据え、各社は今後の米中摩擦、対中規制の動向を注視する。