2025.02.05 「女子会、なくなるのが正しい」 性差が出やすい「役職」と「育児」 女性ITエンジニア調査
女性エンジニアの役職
システム開発を行うサーバーワークスが「女性ITエンジニアの働き方に関する調査結果」を公表した。企業に勤める全国の20歳以上の女性ITエンジニア270人を対象にした調査になる。同社の元エンジニアである小室文さんに、エンジニア目線で調査結果を解説してもらった。
調査では、女性ITエンジニアの67.0%が「役職がない」と回答。年収や役職についても「上司に直接働きかけたことがない」と答えた人が71.5%に上った。
こうした結果について小室さんは「IT業界自体が若いので、業務に対するノウハウが蓄積されていない」とした上で、「新しい組織ができるときに男性が要職に就きやすい傾向が残っているほか、女性は自分の実力を少なく見積もる傾向にある。自分の成果を把握して、それに見合った報酬をもらうのは大切なこと」と説明した。
育児休暇の取得について、61.5%の人が「子どもはいない」と答えた。小室さんは「男女関係なく、エンジニアの仕事を始めて5、6年は覚えなければいけないことがたくさんある」と強調。「その勉強期間に子供を産み、育てながら働くことが厳しいと判断する人がほとんど。子どもは今はやめておこうと考えてしまう人が多いのではないか」と分析した。ただ、「子どもはいない」「答えたくない」との回答を除いた分では、育児休暇を「取得したことがある」人は71.3%に上る。
同社が2024年1月に行った、全国の男性エンジニアを対象にした育児休暇に関する調査では、子どもがいても育児休暇を「取得しなかった」「取得予定はない」人が66.6%に上った。そのうち55.7%は「取得したかったが状況が許さなかった」と回答している。こうした結果から、育児休暇を女性は取らざるを得ない、男性は取りたくても取れない状況に陥りやすいということが浮き彫りになっているといえそうだ。
小室さんは、男性エンジニアが大多数だった11年、スキルアップを目指す勉強会などに参加しづらいという問題意識から、女性が気軽に勉強会に参加できる場として「JAWS-UGクラウド女子会」を立ち上げたメンバーの一人だ。クラウド女子会について「女性エンジニアが少ないということで始まった組織。最終的にはこの集まりが無くなっていくのが正しいあり方」と性差の無い業界になることを望んだ。