2025.04.24 世界の半導体工場を再編、次世代技術に焦点 STマイクロ

200ミリメートルのSiC製造拠点であるカターニャ工場

フランス・クロルにある300ミリメートル工場フランス・クロルにある300ミリメートル工場

 半導体大手STマイクロエレクトロニクスが、グローバル製造拠点の再構築に乗り出した。中長期的な半導体需要の拡大を見据え、300ミリメートルと200ミリメートルのウエハー工場への投資を強化するとともに、既存施設の効率化を図る。再編は今後3年間をかけて進め、イタリア、フランス、シンガポールなど各拠点の役割を明確化し、戦略的に再配置する。

 イタリア・アグラテ工場は、スマートパワーとミックスド・シグナル技術の主力工場として、300ミリメートルのウエハー生産ラインを2027年までに週産4000枚までに倍増させる。市況に応じて最大1万4000枚へと段階的に引き上げることも計画する。200ミリメートルラインはMEMS製造へ移行する。

 同じくイタリア・カターニャ工場は、次世代パワー半導体に用いるSiC(炭化ケイ素)200ミリメートルウエハーの生産を25年第4四半期に開始予定だ。

 フランス・クロル工場では、300ミリメートル工場の生産能力を週産2万枚まで増強する。光センシングやシリコンフォトニクスなど先端分野への対応を加速させる。一方、シンガポールのアン・モ・キョ工場は、成熟技術に向けた200ミリメートルと150ミリメートルの生産ラインの集約拠点として活用する。

 マルタのキルコップ工場には自動化技術を導入し、次世代品の量産テストやパッケージングの対応力を強化する。

 ジャン・マルク・チェリー社長兼CEO(最高経営責任者)は、「製造拠点の再編はイノベーションを加速させ、当社のステークホルダー全てに利益をもたらす」と力を込めた。

<執筆・構成=半導体ナビ