2025.05.05 中国のスマートホームメーカーが日本市場に新風 ブランドマネージャーが描く製品戦略に迫る

アカラブランドマネージャーのミア氏

4月に発売したM100ハブ4月に発売したM100ハブ

 先進技術で快適性を高めた次世代住宅「スマートホーム」向け製品の中国発ブランド「Aqara(アカラ)」が、日本に初上陸し、2年目を迎えた。スマートホーム機器の互換性を高めるための国際標準規格「Matter(マター)」を追い風に、開閉センサーや見守りカメラなど多彩なアイテムで日本進出を果たした。アカラの販売実績を着々と積み上げる中国・深センのLumi United Technology(ルミユナイテッドテクノロジー)でブランドマネージャーを務めるミア氏に事業戦略について聞いた。

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 ―2024年2月にEC(電子商取引)サイト「Amazon」を通じて日本に打って出た。市場参入に向けて乗り越えたハードルについて教えてください。

 ミア氏 スマートホームが広がっている欧米では広い家が多いが、日本を含めたアジアの場合はワンルームなど、生活空間が狭い傾向にある。そのため、わざわざスマートホームにしなくても問題ないと考える人が多い。プライバシーの面で心配に感じる人も多く、スマート家電から計測したデータの扱い方に不安を抱き、導入しないと考えるユーザーは多い。

 法律や規格の面でも多くの制限がある。海外で発売している製品を日本で販売する際に、追加でリソースを投入し対応しなければならないというネックがあった。アカラの場合は、コンセントやスイッチ類の製品を出しているが、日本では配線などの法規制があり設置できないため、そもそも販売していない。

 ―それでも日本市場に参入したいと考える理由は。

 ミア氏 やはり、マターの登場が大きい。マター規格に対応すれば、プラットフォームに関係なくどの機器でもつなげることができるため、開発のコストが下がる。ユーザーにとっては、スマートフォンで専用QRコードを読み取るだけで容易にセットアップできる。こうした利点があるため、日本でもスマートホームは拡大していくだろう。

 ―4月には、マター対応のスマートホーム製品を制御できるUSBスティック型のコントローラー「M100ハブ」を税込み3180円という低価格で発売しました。特長は。

 ミア氏 「M100ハブ」は、エントリーモデルのコントローラーで、これまで興味があっても価格の面であきらめていたユーザーに手に取ってもらいやすくした。スマートホームの良さを実感してもらいたい。

 アカラは、防犯カメラにコントローラーを内蔵した製品も出している。コントローラー単独ではなく、よく知っている役割の製品に組み込むことで、導入のハードルを下げている。

―マター対応製品の今後の展開は。

 ミア氏 アカラとしては現在、マター対応に注力している。日本市場では、他社と一丸となってマター市場を盛り上げたい。アカラはこれまでグローバルに展開してきたが、日本は非常に重要な市場のため、その市場に特化した製品の展開も考えている。

 ―スマートホーム市場の成長性をどのように見ていますか。

 ミア氏 スマートホームの普及率が低く、成長のポテンシャルは高い。マター誕生のタイミングで日本市場に参入することで、「マター対応製品と言えばアカラ」というイメージを浸透させたい。マター市場と同時に、アカラの認知度を上げていきたい。