2025.06.03 半導体材料の生産強化 化学大手の独BASF、27年にも新工場稼働へ
BASFのルートヴィッヒスハーフェン工場(出所:BASF)
ドイツの化学大手BASFは、半導体製造に不可欠な高純度硫酸(H₂SO₄)の生産能力を拡大する。自社の主力拠点である独ルートヴィッヒスハーフェン工場に最新鋭の生産施設を建設し、2027年までの操業開始を目指す。投資額は2桁万ユーロにのぼる見通しで、欧州全域で急増する先端半導体製造向けの需要に対応する構えだ。
半導体グレードの硫酸は、シリコンウエハーの洗浄やエッチングなどの工程に不可欠な材料。特に不純物の除去やフォトレジストの剥離に用いられ、高純度が要求される。BASFはこの分野でリーディングカンパニーと位置付けられ、洗浄、蒸着、CMP(化学機械研磨)などの工程に用いられる多様な化学薬品を供給している。
欧州では近年、地政学的リスクへの対応から半導体サプライチェーンの多角化が進み、製造拠点の整備が活発化している。BASFの新工場建設もその流れに呼応したものだ。
新工場では厳格な品質管理体制の下で、最先端の半導体プロセスに適合する超高純度化学薬品を製造。主要顧客に近い場所で生産することで、ニーズに即応し、リードタイムの短縮を図る狙いだ。
BASFのエグゼクティブ・ディレクターであるアヌプ・コタリ氏は「欧州における先端半導体産業の成長をサポートするという当社のコミットメントを強調するものだ」と語った。
同社は今後もルートヴィッヒスハーフェン拠点を軸に、欧州における半導体材料の安定供給体制を強化していく方針だ。
<執筆・構成=半導体ナビ>