2026.05.28 シャープ 鉄道向けソリューション提案を強化 画像解析技術とRFIDシステム軸に

鉄道向けの多彩なソリューション提案で、関心を引いたシャープブース

提案するRFIDシステム。ホームドア連携をはじめさまざまな鉄道の安全性向上、省人化支援に貢献する提案するRFIDシステム。ホームドア連携をはじめさまざまな鉄道の安全性向上、省人化支援に貢献する

鉄道向けの多彩なソリューション提案の認知を広めたいと話す岡参事鉄道向けの多彩なソリューション提案の認知を広めたいと話す岡参事

 シャープは、今後B2B(法人向け)事業の拡大を成長戦略の大きな柱とする。この一環として、同社が培ってきた技術を活用し、鉄道関連のビジネス開拓に力を入れている。

 同社は、27~29日に大阪市のインテックス大阪で開催されている「第2回 鉄道技術展・大阪2026」(主催=産経新聞社)に出展、各種鉄道向けソリューションを訴求した。

 同社ビジネスソリューション事業本部ワークプレイスイノベーション事業部システムソリューション推進部の岡芳樹参事は「昨年11月、幕張メッセ(千葉市)で開催された鉄道技術展(第9回鉄道技術展2025)に初めて出展し、想定以上の反響を得た」と述べ、大阪でも同社の最新技術をアピールすることで、今後の事業を加速させていく考えを示した。

 「鉄道向けのビジネスとして、RFIDシステムは約30年前から取り組んでいたが、対外的にはあまり知られていなかった。こうした事業を展開していることを、今後本格的にアピールしていきたい」(岡参事)考えだ。

RFIDシステムで運行支援、自動化など効率化へ

 同社が、現在鉄道分野向けに提案を強めているのが、RFIDシステムと、テレビや携帯電話で培った画像解析技術を応用した鉄道画像検査ソリューションの二つだ。

 RFIDシステムは、無線通信を利用して電子タグの情報を非接触で読み書きできる自動認識技術で、車両の位置情報などを把握し、効率的な情報管理を実現するソリューションだ。

 鉄道分野では、ホームドア連携をはじめ、ドア開閉や車庫における在線・位置管理、コンテナ運送管理支援などのソリューションを展開する。

 車庫における在線・位置管理支援は阪急電鉄、ホームドア開閉支援システムはJR西日本(西日本旅客鉄道)などの大手鉄道会社が導入し、すでに運用している。

 JR九州(九州旅客鉄道)が導入する列車ドア開閉システムは、タグに登録されたドア開閉方向の情報を列車ドア開閉システムと連携させたもので、ローカル線のワンマン車両では重宝するシステムだ。ワンマン列車で運転士が誤って反対側のドアを開けてしまう事態を未然に防ぎたいというニーズに応えている。

 RFIDは、無線通信にマイクロ波とUHF帯を使う方式があり、同社では両システムをそろえるが、マイクロ波(2.45GHz)を使うシステムは同社独自のラインアップとなる。タグに電池を内蔵し、寿命は約5年。 両システムとも耐久性や耐振動性がある。マイクロ波は、大容量メモリー(約8Kバイト)や鉄道などの高速移動帯に向いたタグとアンテナ間の高速通信・最大1kmの遠隔設置が可能だ。

 UHF帯(920MHz)を使ったシステムは免許申請不要の特定小電力無線局に対応したモデルもあるが、免許申請の手続きが必要な構内無線局に対応したタイプもある。

 同社では、マイクロ波とUHF帯の二つの周波数帯に対応したRFIDコントローラー「DS-60MU」も今年1月から投入しており、両システムの混在接続など柔軟なシステム構築にも対応している。

画像処理技術を活用した多彩なソリューションも紹介

 画像解析技術を活用したソリューションでは、パンタグラフすり板摩耗量計測システムや車両床下検査システムを提案する。

 パンタグラフすり板摩耗の検査は、従来目視で実施していた検査の作業負荷を軽減し、効率的な検査を提供する。

 パンタグラフに欠損部があれば、架線切断という事故にもつながりかねず、鉄道会社としては神経を使う検査作業の一つだ。

 同システムは線路わきにカメラと照明を設置し、車両通過時にパンタグラフを撮影。撮影から検査データ出力まで自動で実施する。現在、JR東日本(東日本旅客鉄道)と共同開発を進めている。

 また、近畿日本鉄道(近鉄)と共同で、画像処理技術を活用した車両床下検査システムの実証実験も行っている。鉄道の安全運行に不可欠な検査業務の精度維持・向上と負荷軽減・省力化の両立を目指していく。

  展示会では、これらのほかAI(人工知能)アバター駅係員や、プロジェクション技術を活用した独自コンセプトの投影システム「Omject(オムジェクト)」も参考出展し、関心を集めていた。

 岡参事は「今まで鉄道向けのソリューションは認知が低かったため、今後鉄道事業者や関係するシステムインテグレーター、エンジニアリング会社に向けて、積極的にアピールしていきたい」と話す。

 さらに「展示会に出展したことで、多くの方に関心を持っていただけた。(省人化、安全性向上など)鉄道業界の課題解決に貢献していきたい」と語った。