2025.06.19 量子コンピューティング、研究から実用段階に道筋 日本企業が相次ぎ新技術
富士通と理化学研究所が開発した256量子ビット機
量子コンピューティング技術が研究段階から実用段階へと移行しつつある。富士通と理化学研究所が4月に256量子ビット機の開発に成功すると、日本IBMと東京大学は量子コンとスーパーコンピューターの連携システムを構築。産業界での配送最適化への応用など、基礎研究から実用化まで幅広い分野で目覚ましい進展を見せている。エラー訂正技術の確立という課題を抱えながらも、2030年代の本格的商用化に向け、日本企業は独自の技術的優位性を生かした戦略的アプローチで技術革新をけん引している。
計算能力が4倍に
富士通と理研は4月、世界最大級となる256量子ビットの超伝導量子コンピューターの開発に成功したと発表した。従来の64量子ビット機から計算能力を4倍に拡大した。
開発に携わった富士通研究所フェローで量子研究所長の佐藤信太郎氏は「量子ビットの集積化だけでなく、極低温状態を維持する希釈冷凍機内部での熱設計と高密度実装が最大の課題だった」と振り返る。従来機と同じ冷凍機を用いながら4倍の実装密度を実現するため、熱収支のシミュレーションから配線の小型化まで細部にわたって工夫を重ねた。
理研量子コンピュータ研究センターの中村泰信センター長は「現時点ではスーパーコンピューターの性能が優れているが、量子... (つづく)