2025.07.03 体を広範囲に冷やす シフトールから暑さ対策ウェア登場
ペルチェチラー方式について説明する岩佐琢磨CEO=東京都墨田区
仮想現実(VR)機器の開発などを手がけるShiftall(シフト―ル、東京都中央区)は、新たな水冷ウェア「ChillerX(チラーエックス)」を発売すると発表した。猛暑の屋外作業やアウトドアを楽しむ際に着用するウェアで、電気の力で上半身全体を包み込むように冷やす。夏の暑さ対策に一役買いそうだ。
今回のウェアの特徴は、電気を流すと温度が変わる半導体の一種「ペルチェ素子」を用いる新方式を採用した点。具体的には、同素子で冷やした水を電動ポンプで水冷シートに循環させる「ペルチェチラー方式」を取り入れた。
電気で冷却水を循環させるこの方式は、「点」で冷却するペルチェ直冷方式とは異なり、首筋から脇にかけて水冷シートの「面」で覆う。冷やす面積は、ペルチェ直冷方式の14倍と圧倒的に大きいという。
さらに、冷却機能も強化。50ワットの大電力で動作し、環境温度から最大でマイナス35度まで温度を下げることができる。
氷水を循環させる方式で必要となる氷の管理も不要で、モバイルバッテリーを交換するだけで使い続けられる。連続稼働時間は25000mAh(ミリアンペア時)のバッテリーを用いてエコモードで運転した場合、約2.5時間。大容量のバッテリーを使えば、6時間の動作も可能だ。フリーサイズでバッテリーを除いた重さは。約1.6キログラム。
既にペルチェチラー方式のウェアは存在していたが、10万円を超えるなど高価な製品が多かった。そこで同社は、自社で一貫して開発・販売する体制を生かし、税込み3万9900円という安価な価格を実現した。予約は公式ウェブサイトで開始しており、8月上旬から順次出荷する予定だ。
東京都内で開かれた発表会で代表取締役CEO(最高経営責任者)の岩佐琢磨氏は、「毎年厳しくなる暑さに対応していきたい。手の届く価格でビジネス用途だけでなく、アウトドアな趣味の場面でも使ってもらいたい」と述べた。