2025.08.24 スパコンの威力を体験 中高生らが「富岳」でプログラミングに挑戦
東京会場の様子
高度情報科学技術研究機構(RIST)は21日から2日間、理化学研究所と富士通が共同開発したスーパーコンピューター「富岳」を体験する中高生・高専生向けイベントを、東京都文京区の東京大学情報基盤センターで開いた。参加者は、スパコンを利用して難易度の高いプログラミングに挑戦した。
今回のイベントは、RISTが同センターや理研計算科学研究センターなどと共催する「スパコン『富岳』体験塾2025」。全国4会場で8月中に順次開いている。
中でも東京での体験塾は3回目。東大浅野キャンパス(東京都文京区)で開かれ、中学1年生から高専4年生まで約20人が参加した。
参加者は、Webブラウザーから「富岳」を操作できるポータルサイトへの接続方法など利用手順や演習課題について説明を受けた上で、実際にスパコンを駆使して課題に挑んだ。
具体的には「富岳」を利用し、宇宙の形成に関わる「重力多体」という複雑な問題の解決に必要なシミュレーションを実施。自ら書いたプログラムをスパコンで実行し、「太陽と地球の運動の計算」や「多数の天体の運動の計算」といった課題に取り組んだ。
参加した池田光駕さん(17)は「普段は基板設計や電気回路について勉強している。プログラミングは難しかったが、本当にやりたいことがはっきりと見えた」と感想を述べた。
RIST広報部の中山紀久子部長は開会のあいさつで、「人材育成が開催の目的。将来、振り返ったときに『ここでの経験が人生の転機になった』という人が一人でもいてくれたらうれしい」と話した。
体験塾の前日には、東京会場初の試みとして、東大柏キャンパス(千葉県柏市)に設置した新型スパコン「Miyabi(ミヤビ)」の見学会も開いた。東大と筑波大が1月に共同運用を始めたスパコンだ。この日は東大情報基盤センターの塙敏博教授が、スパコンの仕組みや用途などについて講義した。