2025.08.29 【ソリューションプロバイダー特集】DX 業種・業界を問わず浸透 企業の業務効率化などに加え人口減少など解決へ

NECプラットフォームズは「TWINPOSシリーズ」を市場投入したNECプラットフォームズは「TWINPOSシリーズ」を市場投入した

日立システムズの森林情報を可視化するAI解析の納品イメージ日立システムズの森林情報を可視化するAI解析の納品イメージ

 デジタル技術を既存業務の変革や新ビジネスの創出につなげるデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)の担い手として、ソリューションプロバイダー各社の役割が広がりをみせている。企業の業務効率化や生産性向上に加え、人口減少といった社会課題にもデジタル技術で解決の糸口を提案。DXはあらゆる業種・業界に不可欠な取り組みになっている。

 大塚商会は、中堅・中小企業向けの文書管理システム「eValue V Air mini」の提供を開始した。

 子会社のOSKが1997年に発売し約30年にわたって進化を続けてきた文書管理システム「eValue(イーバリュー)シリーズ」のうち、企業内の情報整理や共有に必要な機能を網羅したクラウド型グループウエアである「eValue V Air」の一環サービスだ。

 企業が必要とする書庫をあらかじめ用意し、より使いやすさを追求したクラウドサービスを安価で提供。AI(人工知能)の活用に向け、重要なファイルがサーバーやクラウドに散在し、どこに保存されているか分からないといった課題を抱える中堅・中小企業をサポートする。

 NSWは、老朽化したメインフレーム(大型汎用〈はんよう〉コンピューター)のクラウド移行を円滑に進める体制を整えた。スタートアップのScalar(東京都新宿区)と連携し、メインフレーム向けに共同で開発した「メインフレームモダナイゼーションサービス」に、「COBOL」資産のクラウド移行を加速する新機能を加えた。

 金融・製造・流通業界では、メインフレームで広く使われるプログラミング言語のCOBOLで構築された基幹業務システムと最新のクラウドシステムとのデータ連携が大きな課題となっていた。

 新機能では、COBOLのデータ定義であるCopy BookをJSON形式に変換するプロセスをモジュール化。既存のメインフレーム環境と新しい分散システム間でのデータ連携や移行が、より標準化された手順で実現できるようにした。

 NECプラットフォームズは、流通・外食業現場のDXを支援するPOS(販売時点情報管理)端末「TWINPOSシリーズ」の新製品4機種を市場投入した。従来比で最大9倍の性能向上を実現した。

 従来機種の外観や寸法を保ちながら、CPU(中央演算処理装置)やOS(基本ソフト)などのハードの設計を刷新し、性能を向上させた。同社はPOS関連事業の譲渡を決めており、事業承継先の子会社が11月に出荷を開始する。

 アイティフォーは、カナダ発の世界的コマースプラットフォーム「Shopify(ショッピファイ)」を活用した次世代EC(電子商取引)システムの開発を開始したと発表した。従来のパッケージ型に比べ、柔軟性や拡張性を高めるとともに、導入・運用コストの削減を実現するクラウド型プラットフォームとして9月の開発完了・提供開始を目指す。

 日立システムズは、人手不足の課題を抱えている森林調査を最新のデジタル技術で支援するサービスを本格展開している。

 24年から実証を進めていたドローンとAIを活用し、単木単位で森林の情報を可視化する森林調査の仕組みを商用化。人が実際に森林に入るよりも短期間で安全に安く調査できるもので、地方公共団体や森林組合などに提案している。

コンサル事業との連動も拡大

 企業向けのコンサルティング事業とDXを組み合わせた提案も拡大している。AI(人工知能)やIoT、クラウドといった先端技術が目まぐるしく進化する一方で人材不足が慢性化しており、企業は自社だけでDXを推進することが難しくなっている。

 そこで、専門知識やノウハウを蓄積してきたIT企業はコンサルティング能力を強化。単なるシステム構築やソフトウエア開発だけでなく、より付加価値の高いコンサルサービスを提供することで、他社との差別化を図ろうとしている。

 富士通は新たにコンサル専門組織「グローバルコンサルティングビジネスグループ」を設立。アクセンチュア出身の習田晋一郎氏をグローバルCEOとして迎え、業界横断的な変革支援を目指す。

 コンサルタントは各拠点に配置され、顧客対応部門やAI、量子コンピューティングなどの先進技術部門と連携してプロジェクトを主導する。グループ全体の知見と技術を結集し、業界横断的な変革や、同社の事業ブランド「Uvance」の事業モデル推進につなげる。

 大西俊介執行役員副社長は「今回の新組織設立とリーダーシップチーム発足により、コンサル主導のアプローチで顧客企業の変革支援を加速させたい」と強調する。

 NECは、2025年度までにコンサル人材を1000人に倍増させる方針を示している。23年4月にはDX関連の社内リソースを一元化した「デジタルプラットフォームビジネスユニット」を創設。コンサルから製品開発、システム提供、マーケティングまでを一貫して担う体制を整備した。

 24年5月、新たな価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」の展開を始め、約400人の事業推進組織を設置してDX事業のてこ入れを図った。

 同11月には、世界トップレベルのNEC研究者が持つ最先端技術の知見を生かした「先端技術コンサルティングサービス」の提供をスタート。生成AIやAIコンピューティング、マテリアルズ・インフォマティクスなどの分野で、企業の高度な技術活用とDXを支援している。

 日立製作所は、デジタルによる成長の加速とグローバルでの競争力強化を目指し、24年4月に事業体制を強化した。主力デジタル事業「ルマーダ」を中核に、傘下のデジタルエンジニアリング企業である米グローバルロジックとの連携を深化。先進的なデザイン機能の浸透により、工場や発電所などの設備やプロセスを監視・制御・運用するOT(オペレーショナル・テクノロジー)分野などでも価値創出を拡大している。

 富士キメラ総研は、30年度の国内DX関連投資額について、23年度からほぼ倍増の9兆2666億円に上ると試算している。特に製造業DXは23年度比2.4倍の2兆9843億円、小売り・外食業DXは同2倍の9644億円が見込まれ、製造業や交通/運輸/物流業の伸びが市場拡大をけん引することが予測されている。