2025.09.30 【電波新聞社 全国地域店アンケート】調理家電
増販に期待「11月頃」最多
電波新聞社は、全国の地域電器店を対象に調理家電に関するアンケートを行い、最近の販売状況を探った。アンケートは9月10~26日で実施し、23店から有効回答を得た。それによると4~8月に調理家電を11台以上販売した店が6割以上に上った。店内で調理実演などを行うことで販売を伸ばしたところもあり、71台以上売り上げた店もあった。
提案で重視「簡単な操作方法」18店
4月から8月までの調理家電の販売状況(Q1)を聞いたところ、「11~20台」が35%、「21~30台」が17%、「71台以上」が13%となり多くの販売店が5カ月で11台以上の販売につなげていた。その半面で「10台以下」も35%と多く、伸び悩んだところも目立った。
9月から12月までの販売目標(Q2)は、「11~15台」が39%と最も多く、次いで「10台以下」が18%となった。「51台以上」と「26~30台」「16~20台」がそれぞれ13%と目標値が割れた。
調理家電の売り上げに占める割合(Q3)は、「5%未満」が65%と最も多かった。多くの店でエアコン工事やリフォーム工事など地域店だからこそできる工事をはじめ、販売単価の高い商材への取り組み比率が高い。販売単価が主力家電よりも低くなりがちな調理家電は、地域店にとっての柱までは行きにくい状況が明らかになった。
調理家電の提案で重視していること(Q4)は、「簡単な操作方法」と回答した店が18店あり、使用しやすさを重視しているお客が増えていることが分かった。「時短」や「実演提案」は5店で、目の前で実演することで使用方法を説明している店も多かった。
店舗で料理教室を行っている東京都の地域店は「実際の使用方法だけでなく、味も確認することができるため、お客さまから好評だ」と回答。実演だけでなく、手書きのPOPやレシピなどを使用して提案する店もあった。
調理家電の増販に期待している時期(Q5)は「11月頃」が14店と最も多く、「9月頃」は12店、「10月頃」は13店だった。食欲の秋を見据え、夏以降へ提案を強化するところが多いことが分かった。「9月以降は料理教室の開催を増やす」(東京都の地域店)と回答した店も。親戚らが集まる年末に期待している店もあった。
提案する調理家電の主力商品(Q6)は「炊飯器」と回答した店が20店と最も多く、「電子レンジ」(18店)、「トースター」(3店)と続いた。
パナソニック系の店では6月に発売した可変圧力IHジャー炊飯器を提案する店が多かった。
提案での課題「IoT機能の説明」最多
今後提案に取り組んでみたい調理家電(Q7)は、「オーブンレンジ」や「高級炊飯器」などが挙がり、お客からの問い合わせが少ない家電を訴求していきたいという考えが分かった。山形県の地域店は「売れ筋がいい標準モデルの商品にしか触れていないため、ほかの機種も学び販売へつなげたい」と回答した。
調理家電の提案で課題になっていること(Q8)は、6店が「IoT機能の説明とスマートフォン操作」と回答した。「高齢のお客さまが中心のため、説明しても使用できない」(神奈川県の電器店)という意見もあった。
「炊飯器や電子レンジの提案に偏り過ぎている」や「商品が多過ぎてきちんと提案しきれない」なども課題に上がった。
自店で調理実演をしているか(Q9)聞いたところ「している」と「していない」が39%と二分した。「検討している段階」が22%だった。
実演している店に衛生管理について聞いたところ、「前後での清掃の徹底」や「参加人数の制限」を挙げた。普段から清掃しているため、「特にない」と答えた店もあった。
今後の調理家電の増販への期待(Q11)については「期待できる」と「どちらでもない」が45%だった。
「期待できる」と答えた岐阜県の地域店は「各メーカーが力を入れているように感じる」とコメント。山口県の店は「展示会でオーブントースターを実演し、試食でたくさん売れたので実演すると良い」と回答した。販売店だけでなく、メーカーの動きにも注目していることが分かった。
「どちらでもない」を選んだ熊本県の店は「買い替え提案よりも、故障買い替えがほとんどのため」と回答。茨城県の店は「機能を十分に使いこなせない方が多い」とした。新規購入より買い替えが中心になっていることを受け、現在の販売状況から大きく変わらないとみる店も多かった。
今後の課題や販売の現場で実感していることを聞くと、「高額な商品を提案し、購入してもらっても活用してもらえない」(福岡県の店)や「全体的に調理家電の単価が下がっているので付加価値商品の訴求で単価を上げる」(青森県の店)と回答した。