2025.10.21 台湾ヤゲオ、芝浦電子へのTOBが成立 都内で共同会見

共同会見の様子(チェン会長㊧と葛西社長)

 台湾の大手電子部品メーカー、YAGEO(ヤゲオ)による芝浦電子へのTOB(株式公開買付)が今月20日付で成立したことを受け、ヤゲオと芝浦電子は21日夕、東京都内で共同記者会見した。ヤゲオのピエール・チェン会長や芝浦電子の葛西晃社長などが出席し、両社の協業による戦略的適合性や価値創造の可能性などについて説明した。

 ヤゲオは今年5月から、「同意なきTOB」の形で芝浦電子株式の公開買付を開始。その後、ホワイトナイト(友好的な買収者)として芝浦電子へのTOB実施方針を発表したミネベアミツミとのTOB合戦の形となったが、9月16日に芝浦電子がヤゲオの提案に賛同し、10月20日付でTOBが成立した。20日時点でヤゲオによるTOBへの応募比率は87.33%に達した。

 会見でチェン会長は、芝浦電子との相互補完性を強調し、「日本には素晴らしい単一の製品、単一の技術を持つ企業が数多くあるが、経営リソースの課題から世界市場に十分にアクセスできないケースがある。当社と一緒になることで、そうした製品を世界中の顧客に届けていきたい」と述べた。今後については「黄金の90日間で、いろいろな取り組みを進めたい」と語った。

 葛西社長は、TOB成立への経緯について、「最初の提案当初は違和感もあったが、その後、時間をかけて面談や工場訪問などを重ね、『ヤゲオには現場を大切にする企業文化がある』と感じ取ることができた。チェン会長から丁寧に戦略を説明してもらい、われわれはヤゲオの事業に貢献でき、企業価値向上につなげられると判断した」と説明した。

 ヤゲオは1977年に設立され、年間売上高は約6000億円。グローバル従業員数は約3万7000人で、全世界に57の製造拠点を持つ。受動部品の大手メーカーとして、チップ抵抗器やポリマータンタルコンデンサーでは世界トップシェアを有している。成長戦略の一つにM&Aを掲げ、過去に20件以上のM&A実績を持つ。

 芝浦電子は、NTCサーミスター製造の分野で世界的に高い技術力を有するリーダー企業となっている。