2025.10.23 第一稀元素、レアアース不使用の高耐久セラミックス材料 産出国リスク回避し安定供給へ

第一稀元素の高耐久セラミックス材料「HSY-0774」はレアアース不使用で産出国リスクに対応する

 第一稀元素化学工業は、高耐久性セラミックス製品の材料としてレアアース不使用の「HSY-0774」を開発した。産出国に限りがある原料を避け、安定供給を図れる。


 セラミックス製品向けジルコニア粉末「DURAZR-S」シリーズの新製品となる。同用途のジルコニアは一般に安定化剤として酸化イットリウム(イットリア)などのレアアースを使うが、産出国には限りがある。例えばイットリアの場合は中国が主要な産地の一つ。今回は入手が容易な酸化カルシウム(カルシア)を安定化剤として使用することに成功した。

 カルシアは通常のセラミックスの高い焼結温度では機能を維持できない点が課題だった。そこで従来の焼結温度より200℃低い1200~1300℃で焼結可能な粉末を合成する独自技術Advanced Toughness and Easy-sintering DKK Zirconia technology(ATEDZ)を適用した。シリーズの高耐久性は維持しており、構造体のより一層の小型化、薄膜化に寄与するほか、新たにジルコニアセラミックスの使用は不向きとの評価を受けていた100℃程度の温度環境下でも亀裂などが生じにくい水熱劣化耐性を備えた。

 またアルゴンなどの高圧ガスを用い高温と等方的な圧力をセラミックス部品に同時に加え、より緻密なセラミックス製品を得る熱処理プロセス、熱間等方圧加圧法(HIP)によって、高い透明感を発現させられるようになった。 宝飾部品などへの使用も期待できるとしている。