2025.10.24 シャープがEV第2弾、5人乗りミニバン開発 車内をシアタールームにも

コンパクトミニバンサイズで広い車内空間を実現したLDK+

 シャープは24日、「リビングルームの拡張空間」としての活用を提案する電気自動車(EV)のコンセプトモデル「LDK+」の第2弾を開発したと発表した。「Part of your home」というメッセージを新たに掲げ、コンパクトボディーで快適に過ごせる広い車内空間を実現した。

 同社は、2024年9月にLDK+のコンセプトモデル第1弾を発表し、事業化に向けた取り組みを進めてきた。今回は、鴻海科技集団(Foxconn)のEV「ModelA」をベースに開発し、5人乗りのコンパクトミニバンサイズで広々とした車内レイアウトを実現。小回りの利くボディーサイズとゆったりと過ごせる室内空間を両立させた。

 駐車時には運転席を後ろ向きに回転させることで、リビングのような車内空間を展開できる。プロジェクターやロール式スクリーンも搭載し、車内空間をシアタールームやリモートワークスペースとして活用可能。同社がこれまで培ってきたAI(人工知能)技術と鴻海のSDV(Software Defined Vehicle)の融合により、スマートな車内体験を提供する。種谷元隆CTO(最高技術責任者)は「居住性の高い広い車内空間で、家の一部として使ってもらえる」と力を込めた。

 既存自動車メーカーが対応していないビジネス、ファミリー・子ども、パーソナルを主役とした車内空間の提供を目指す。快適で集中できるリモートワーク部屋やAI家庭教師による勉強サポート、シアタールームとしての活用を想定し、多様化するニーズに対応する狙いだ。

 LDK+は、「暮らしを豊かにする家電の一つ」という考えのもと、シャープの技術を使った家のような快適空間を展開。エアコンは、プラズマクラスター発生装置などで車内の空気をきれいにし、排ガスを抑えたクリーンな環境を提供する。家のエネルギーシステムとつながり、車内で家の電気が使え、太陽光発電や蓄電池と連携した住宅全体での最適なエネルギーマネジメントを実現する。

 同社は、自動車業界出身のプロフェッショナルをEVプロジェクトチームに起用した新生「I-001プロジェクト」を始動した。横断プロジェクトとしてプラズマクラスターやペロブスカイト太陽電池などの開発を手がける各事業本部や鴻海と連携し、EV事業化に向けた取り組みを加速させていく。I-001プロジェクトチームの大津輝章チーフは「シャープのAIoTを駆使して、車内空間にこだわった開発を進める」と話した。

 27年度のEV市場参入を目指し、開発を進めていく計画だ。LDK+は、10月30日~11月9日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「Japan Mobility Show 2025」で初公開される。