2025.11.11 全国企業倒産 10月は965件、負債総額1275億円

 2025年10月の全国企業倒産(負債1000万円以上)は、件数が965件(前年同月比6.1%増)、負債総額は1275億2100万円(同49.5%減)だった。民間調査会社の東京商工リサーチの調べで明らかになった。

 件数は6月から5カ月連続で前年同月を上回り、7月の961件を抜いて今年最多を更新した。10月では2年連続での900件台で、2012年の1035件以来の高水準となった。

 負債総額は2カ月連続で前年同月を下回り、ほぼ半減。前年同月は負債100億円以上が投資事業のエクシア(東京・負債850億円)、AV家電メーカーの船井電機(大阪・同469億6400万円)の2件発生したが、10月は中川企画建設(大阪・同222億2200万円)の1件で、この差が負債の大幅減少につながった。

 10月の負債総額1000億円台は、18年(1176億1900万円)以来、7年ぶり。負債1億円未満が745件(構成比77.2%)で、小規模倒産を中心に推移し、大型倒産の散発で負債が大きく動く状況が続いている。

 主な倒産は、土木建築工事の中川企画建設が大阪地裁に会社更生法を申請した。メガソーラーに伴う権利トラブルで25億円の未回収が発生、資金繰りが急激に悪化した。

 産業別では、10産業のうち7産業で前年同月を上回った。製造業124件(前年同月比18.0%増)、小売業118件(同14.5%増)がそれぞれ今年最多になった。

 10月の「人手不足」関連倒産は合計37件(前年同月30件)で、人件費高騰が22件(同10件)と2.2倍に急増。求人難は9件(同12件)、従業員退職は6件(同8件)と減少。集計対象外の負債1000万円未満の倒産は、51件(前年同月48件)。

【10月度のダイジェスト】
  「物価高」倒産は85件(前年同月45件)で、24年5月以来、17カ月ぶりに80件を超えた。

  「ゼロゼロ融資」利用後の倒産は38件(同40件)で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。

【産業別倒産動向】
 10月の産業別件数は、10産業のうち、7産業で前年同月を上回った。最多はサービス業他の326件(前年同月比7.5%増)だった。月次倒産に占める構成比は33.7%(前年同月33.3%)。

 また、不動産業33件(前年同月比57.1%増)が、6カ月連続で前年同月を上回った。土地売買業(6→13件)や不動産代理業・仲介業(5→9件)で増加が目立つ。

 このほか、小売業118件(前年同月比14.5%増)が5カ月連続、運輸業37件(同15.6%増)が3カ月連続、農・林・漁・鉱業9件(同125.0%増)と製造業124件(同18.0%増)、卸売業99件(同4.2%増)が2カ月連続で、それぞれ前年同月を上回った。

 製造業は3月の107件、小売業は7月の112件を、それぞれ上回り、今年最多。一方、情報通信業40件(同27.2%減)が5カ月連続、建設業177件(同5.3%減)と金融・保険業2件(同50.0%減)が3カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。