2025.11.17 【EdgeTech+特集】ニチコン 小形リチウムイオン二次電池の高温耐久品 長寿命、微弱電流充電など充実

小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」高温耐久品

 ニチコンは、IoT市場向けに、サイクル長寿命と微弱電流充電、安全性に優れた小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」を提供している。

 SLBシリーズは、負極にチタン酸リチウムを採用することで、電気二重層コンデンサーライクな使用感をもたらす高い入出力密度を実現している。20Cレートでの急速充放電に対応し、数万回の充放電サイクルでも容量劣化が小さく、極めて高い耐久性を有している。−30℃の低温環境でも動作可能な特性を備えており、室内光発電や振動発電などの低レート(0.01C)の微弱電流充電にも対応する。リチウム金属の析出が少なく、短絡や発煙・発火のリスクが極めて低いため、安全性にも優れている。

 IoT機器はセンサーや通信モジュールで構成する。安定した電源の供給が求められるため、電池の寿命や極低温から高温まで対応可能な温度耐久性が求められる。こうした背景を踏まえ、SLBシリーズに使用温度範囲を−30〜+80℃に拡張した高温耐久品を新たに開発した。従来品の高温環境下での劣化メカニズムを解析し、電極材と電解液の仕様を最適化することで、80℃環境下での20C充放電サイクル試験(放電深度100%)で、容量維持率80%に達するまでのサイクル回数を約1万9000回まで向上させることに成功(製品サイズ:直径8mm、長さ11.5mm、公称容量10mAh)。この高温耐久品は、12月から量産を開始する予定だ。

 高温耐久品の製品ラインアップとしては、最小サイズ(直径3.3mm、長さ9mm、公称容量0.8mAh)から最大サイズ(直径12.5mm、長さ40mm、公称容量130mAh)まで、計4サイズで展開する。屋外で使用されるIoTデバイスや産業機器、社会インフラ市場など、厳しい環境下での耐久性と常温下での長寿命性能が求められる用途に応える製品。

 同社は今後、メンテナンスフリー化を求めるニーズに対応し、こうした高性能電池で各種機器の安定稼働と信頼性向上に寄与していきたいと考えている。