2025.12.20 通信機械市場、上期は5.1%増 生成AI・DC需要が回復を下支え CIAJまとめ
情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)がまとめた2025年度上期(4~9月)の通信機械生産・輸出入概況によると、国内市場規模は前年同期比5.1%増の1兆8547億円と4期連続で前年同期を上回った。有線と無線ネットワーク関連機器の国内生産が増加したほか、スマートフォンの輸入が堅調に推移した。
国内生産金額は同4.4%増の1623億円。搬送装置(デジタル伝送装置含む)や固定通信装置、基地局通信装置、ネットワーク接続機器が伸長し、2期連続の前年同期比増加となった。CIAJ市場調査部の前野剛部長は「生成AI(人工知能)やクラウドサービスの普及により、データセンター(DC)需要が急速に拡大している。これに伴い、高速・大容量通信への投資が進み、ネットワーク関連機器を中心に国内生産の回復を下支えしている」と分析した。
一方、輸出総額は同20.3%減の1240億円。アジア向け部品輸出の減少が主因で、中国向けは大幅に落ち込んだ。前野部長は「中国国内のスマホ需要の低迷に加え、半導体や電子部品の国産化が進展していることが、日本からの部品輸出に影響を及ぼしている」と指摘。米中対立の長期化がサプライチェーン構造に変化をもたらしている実態が示された形だ。

輸入総額は同4.5%増の1兆8546億円。海外製スマホの需要が引き続き高水準で推移したほか、国内のネットワーク拡張やDC建設に伴い、ネットワーク関連機器の輸入が増加した。
今後の見通しについて前野部長は「生成AIやクラウドサービスが通信インフラ投資を中長期的にけん引する構図は変わらない。一方で、海外市場の不透明感や地政学リスクが輸出に与える影響については、引き続き注視する必要がある」と述べ、慎重な見方を示している。







