2025.12.09 NTT、31年に本社を日比谷へ移転、最先端技術で「光の街」づくり

記者会見の臨んだNTTの島田社長(右)とNTTアーバンソリューションズの池田康社長=東京都千代田区

NTT日比谷タワーの建設現場。基礎工事の準備を進めているNTT日比谷タワーの建設現場。基礎工事の準備を進めている

 NTTは8日、東京・大手町(千代田区)からグループ誕生の地である日比谷に本社を移転すると発表した。2031年10月に竣工(しゅんこう)する複合高層ビル「NTT日比谷タワー」に入居する。同社が中心となって開発を進める次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」を生かした快適な都市環境の実現を目指す。

 NTT日比谷タワーは日比谷公園に隣接した内幸町一丁目街区の中地区に位置するビルで、事業主のNTT 都市開発と東京電力パワーグリッドが1日に着工した。高さは約230メートルで、地上48階、地下6階建て。延べ床面積は、国内最大級の約36万1000平方メートルとなる。用途はオフィスやホール、商業、宴会場、ホテルなどで構成される。

 日比谷は、1961年にNTT前身の日本電信電話公社が本社を構えた思い入れの深い場所。その地に建てるビルに本社を移すとともに、これまでに培ったNTTグループの技術やノウハウを結集。アイオンを実装し、「『光の街』づくりpowered by IOWN」と称する取り組みを進める。

 具体的には、膨大なデータを大容量・低遅延・低消費電力で処理するアイオンを活用し、世界中のパートナー企業とリアルタイムでやり取りできるオフィス空間を実現。さらに、高性能な日本語処理性能を持つ独自の大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi(つづみ)2」や多様な視点から解を見いだす人工知能(AI)連携技術「AIコンステレーション」などを組み合わせ、働く人の業務効率を高めたり、国境を越えた共創を実現したりする。

 ビルには、産業支援施設も設置。この施設でアイオンなどの最先端技術を用いてイノベーションを促すとともに、新しいビジネスやサービスの実証し社会に発信する場として生かす。

 東京都内で同日に記者会見したNTTの島田明社長は、光と電気の特性を融合して情報処理の高速化と低消費電力化を実現する「光電融合デバイス」に触れ、「NTT日比谷タワーをスタートに(アイオンを生かした街づくりを)日本や世界へ展開していく」と意欲を示した。

 さらに、AIで室内外の環境やエネルギーなどのデータを分析・予測して建物の設備を最適に制御し、二酸化炭素(CO2)排出量の削減につなげる。将来的には、光の特性を活用する次世代計算機「光量子コンピューター」を駆使して運用効率を高めるほか、水素などのクリーンエネルギーも役立てる。