2026.01.22 【情報通信総合特集】データセンター2026展望 生成AIでDC投資拡大、28年に市場5兆円へ 電力制約と脱炭素が焦点

キヤノンITソリューションズの西東京データセンターキヤノンITソリューションズの西東京データセンター

 クラウドサービスや人工知能(AI)を使ったサービスの急拡大に伴い、データセンター(DC)の需要と設備投資は高い成長が続いている。DCサービス市場は年平均13%で成長し、2028年には5兆円を突破する見通しだ。一方、生成AIの爆発的拡大で電力不足が最大の課題となっており、再生可能エネルギー(再エネ)の活用や高発熱AIサーバーに対応した技術開発の加速が期待されている。

 総務省の2025年版「情報通信白書」によると、世界のDC数は米国が世界シェア約45%を占め、日本は米国の4%程度にとどまる。ただ、日本は安定した経済成長、AIなど先進技術力に加え、世界トップクラスの地震対策や高信頼な運用技術を背景に、世界のIT大手が国内でハイパースケール型DC建設を本格化させている。

 IT専門調査会社IDC Japanによると、国内のDCサービス市場は23年の2兆7361億円から28年に5兆812億円へ拡大し、年平均13.2%の高い伸びを見込む。これに伴いDC事業者の新設・増設投資も増加し、28年には1兆円超の設備投資規模が予想されている。設備計画の面でも、受電容量の確保や冗長化設計の高度化がテーマとなりつつある。省エネ指標(PUE)の改善や運用効率の向上も、投資判断の重要な要素となる。

 DCサービスの一つであるコロケーションサービスは、IT機器の設置環境を提供するサービスで、金融、官公庁、製造、医療、流通など多くの分野で利用されている。IDC Japanが25年11月に発表した国内DCコロケーションサービスの市場予測では、

ハイパースケール向けが今後大きく伸びるとした。調査によれば、ハイパースケール向けの伸びが高く、29年には市場全体の40%を占める見通しで、「クラウドサービス事業者によるハイパースケールDCの増設需要が急速に拡大している」ことが要因だ。

首都圏・関西で集積進む、印西・京阪奈が中核に
 国内DCは8割以上が東京・大阪圏に集中する。金融やテック企業が多く、低遅延アクセス需要に対応できるためで、東京近郊で地盤が安定した千葉県印西市は「データセンター銀座」とも呼ばれる。グーグルが同市で環境対応を強化した大規模DCをいち早く開設したほか、AWS、マイクロソフト、オラクルなど米大手IT企業も整備を本格化させている。大都市圏では送電制約や用地確保の難しさも指摘され、今後は分散立地と回線設計の最適化が重要となる。

 関西では京都、大阪、奈良の京阪奈で大型DC建設が進む。NTTコミュニケーションズが関西地区で最大級のDCを開設したほか、世界有数のDC運営会社CyrusOne(サイラスワン)と関西電力の合弁会社である関西電力サイラスワンも大規模DC建設を推進する。NTTデータは26年2月に京阪奈DC、27年3月に白井DCを竣しゅん工こうする計画で、京阪奈地区での整備が本格化している。

 冷涼で冷却効率が高く、再エネを確保しやすい北海道も有望地だ。さくらインターネットは石狩市に再エネ100%の石狩DCを開設し、冷気を活用した空冷方式により都市型DC比で消費電力を約4割削減した。水冷式コンテナ型DCも計画し、27年度までに総事業費約1000億円を投じ、総GPU数1万基で生成AI向けクラウドサービスを提供する計画という。京セラコミュニケーションシステムの「ゼロエミッション・データセンター石狩(ZED石狩)」も、常時再エネ100%を使用するDCとして国内初となる。ソフトバンクも苫小牧市でAIに特化した国内最大級のDCを建設中で、26年度に完成を予定する。

 再エネや大規模用地を確保しやすい九州なども新たな中核拠点として期待され、経済産業省も整備を促進する。災害リスク分散の観点でも地方分散の意義は大きく、複数拠点を束ねる運用体制の整備が進む見通しだ。系統増強や地域電源との組み合わせを前提にした立地戦略も、事業者間で議論が深まっている。

電力制約が成長のボトルネック、液冷とワット・ビット連携が鍵
 ただ、生成AI普及でDCの電力需要は想定を上回るペースで増加している。受電枠の争奪や長期電源契約の確保も課題となる。電力不足への対応として再エネ活用を進めるとともに、従来の空冷方式では難しい高発熱AIサーバーに対応した液冷方式の導入が広がる。加えて、電力(ワット)と通信(ビット)を一体で最適化する「ワット・ビット連携」の観点から、電力系統・再エネ・通信網・DC立地を一体で捉えたインフラ設計が、今後の整備の鍵となる。

 DCは電力消費が多く、二酸化炭素排出の増加など環境面でも課題を抱える。AI本格化でDCの省電力化とグリーン化は最大のテーマとなり、再エネ利用拡大、液冷など冷却技術、遅延を抑え省電力化にもつながるエッジ型DCの開発、セキュリティーの高信頼化、さらにソブリン(データ主権)対応などが喫緊の課題となっている。