2025.12.23 富士通と東北大、AIで超伝導発現メカニズム解明に道筋 ナノテラス計測データに因果発見AIを適用し新知見抽出へ
富士通と東北大学は23日、次世代放射光施設「NanoTerasu(ナノテラス)」で取得した計測データにAI技術を適用し、超伝導発現メカニズム解明につながる新たな因果関係を自動抽出することに成功したと発表した。
開発したのは、富士通のAIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi」を基盤とする因果発見技術を進化させた発見知能技術。信頼性が高い因果関係を網羅的に、簡潔に推定できるのが特徴。東北大学材料科学高等研究所と共同で、カゴメ格子超伝導材料の計測データに適用し、新知見の抽出に成功した。
超伝導現象は、多様な産業分野での革新的材料開発にとって重要なテーマで、今回の技術の適用により、環境・エネルギー、創薬・医療、電子デバイス領域などでの材料研究が加速し、革新的材料発見への貢献が期待されるという。
富士通は2026年3月に、トライアル環境の提供を目指す。今後は、ナノテラスの高い空間分解能と同技術を組み合わせ、物質の微小領域で生じる因果関係をデータから自動的に明らかにする方向で研究を進める方針。高温超伝導や次世代低消費電力デバイスの実現に向けた研究開発につなげたい考え。
成果は科学誌 Scientific Reports に掲載された。








