2026.02.16 【抵抗器特集】抵抗器のグローバル市場拡大 次世代自動車やAI関連向け技術開発活発化
需要拡大が続くチップ抵抗器
抵抗器市場の成長が続いている。抵抗器のグローバル市場は、2023年は産機・民生機器市場の調整により減少したが、24年に需要が反転し、25年も堅調に推移した。AI(人工知能)サーバー・データセンター(DC)などのAI関連需要の増大やADAS(先進運転支援システム)・自動運転技術の高度化、産機市場の回復などが抵抗器市場の成長を支えている。抵抗器メーカー各社は、今後も高性能化が進む自動車やAI関連、高性能モバイル端末、産業機器、脱炭素・カーボンニュートラル関連などの成長分野に照準を合わせ、次世代ニーズに対応する新製品開発や製品ラインアップ拡充を推進する。
AI・車載需要がけん引
抵抗器は、流れる電流の量を制限・調整することで、電子回路を適正に動作させる役割を担う電子部品。コンデンサーやインダクタ―とともに電子回路を構成するための基本となる「3大受動部品」に位置付けられ、スマートフォンやタブレットなどのIT端末、AV機器・白物家電、自動車電装機器、産業機器・製造装置など、あらゆる電子機器・装置に使用される。
抵抗器のグローバル市場は、20年前半のコロナ禍による停滞後、需要が回復し、21年から22年にかけて好調に推移した。電子情報技術産業協会(JEITA)発表の21年度の抵抗器グローバル出荷は前年度比27%増と極めて高い伸びとなり、22年度も市場での半導体不足や中華系スマホの生産調整などの影響を受けながらも同9%増と高い伸びを示した。
23年は、民生機器や産業機器向け需要が減速し、23年度の抵抗器グローバル出荷は4年ぶりにマイナス成長となったが、24年はIT関連やHDD、サーバー・DC関連などがけん引し、需要が反転した。
25年は、当初は米トランプ政権の追加関税が市場に与える影響が懸念されたが、結果的に影響は軽微で、また、AI関連需要が想定以上に拡大したほか、産機市場の調整一巡からの回復もあり、抵抗器市場は年間を通じて堅調だった。JEITA発表の抵抗器グローバル出荷の25年4~11月累計は前年同期比6%増の1364億円。月次出荷は24年10月から25年11月まで14カ月連続で前年同月比プラスの推移が継続している。
最近の抵抗器市場の成長を支えているのは、ADAS関連や、高級スマホなどのICT(情報通信技術)端末、HDD、DC関連、車載電装、産業機器など。特にCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化 )をメガトレンドとする車の高機能化や、AIサーバー・DC市場の拡大などが付加価値の高い抵抗器の需要を押し上げている。
抵抗器のグローバル需要は、今後も中長期での成長継続が見込まれる。特に、車の高機能化・電動化やAI投資拡大、半導体の技術革新と用途拡大、デジタルシフトによるICT機器やインフラ需要増大、脱炭素ニーズの高まりなどが市場をけん引する。航空・宇宙関連や防衛関連での中長期需要増も期待されている。
多くの調査会社では、抵抗器世界市場のCAGR(年平均成長率)について、30年代前半に向けて1桁台半ばレベルでの成長継続を予測している。
一方で、最近の抵抗器市場を取り巻く環境は、米相互関税の先行きが依然不透明であることや、米中摩擦、日中関係悪化に伴う中国の材料輸出規制懸念、さらに、アジア系競合企業との競争激化など、さまざまなリスク要因がある。このため、抵抗器各社は、次世代ニーズに向けた新製品開発やさらなる生産性向上に努めるとともに、地政学リスクの高止まりを踏まえたグローバル生産体制最適化などを推進する。イノベーションに迅速に対応するため、貴金属ペーストや金属材料、セラミック材料などの抵抗器材料の基礎研究にも力が注がれる。
小型・高性能化が加速
コンシューマー機器市場向けでは、スマホやウエアラブル機器などの携帯端末、各種モジュール、IoT関連機器向けに、チップ抵抗器の小型・薄型化追求が進展している。
スマホは、高密度実装化が一層強まり、チップ抵抗器への軽薄短小化要求も厳しさが増しており、0603、0402サイズなどの微細チップ需要がさらに伸長する見通し。スマホの高周波回路では抵抗値精度や抵抗温度係数などに優れた薄膜チップ抵抗器が使用される。電源回路では電流検出用途で低抵抗チップが用いられ、小型、ハイパワー、低抵抗が特徴の金属板チップ抵抗器などの需要が伸びている。次世代高密度実装向けでは、0201サイズの超小型品の開発・提案も進んでいる。
車載用抵抗器は、車の電子化・電動化により用途が拡大している。特に近年は、xEV(電動車)化により、DC-DCコンバーターやインバーター、チャージャー関連でパワー抵抗器の需要が拡大。ADAS・自動運転技術の高度化もECU(電子制御装置)の搭載点数を増やし、抵抗器需要を創出する。
電源周辺の回路向けでは、硫化発生による抵抗器断線を防止するために耐硫化チップ抵抗器が開発され、特殊な材料の採用により一般的な製品の数十倍の耐硫化特性を有する製品などが実用化されている。
半導体製造装置や工作機械などの産業機器では、大電流、高電圧対応の製品が多用される。電子計測器や医療機器などの高精度が要求される用途では、金属箔はく精密抵抗器などの超精密抵抗器も使用されている。










