2026.05.18 【次世代自動車用部品特集】電子部品各社、次世代車向け開発強化 自動運転・xEVの高度化に照準

自動車の電子化・電動化進展が車載用電子部品市場の成長を支える自動車の電子化・電動化進展が車載用電子部品市場の成長を支える

先行提案と供給体制拡充を加速

 電子部品メーカー各社は、次世代の自動車開発に向けた技術開発を強化している。ADAS(先進運転支援システム)や自動運転技術の高度化、xEV(電動車)の高効率化、自動車の安全性・快適性向上には、より高性能な車載用電子部品やデバイスの開発が欠かせない。各社は、モビリティー技術の革新を見据え、将来ニーズを捉えた先行技術提案やグローバルでの営業・マーケティング強化、地産地消に対応した生産体制の拡充を進め、自動車領域で中長期のビジネス拡大を目指す。

 車載用電子部品の世界市場は、自動車の高機能化や高性能化、電動化などを背景に、長期的な拡大基調が続いている。

 世界の自動車市場は、2023年に世界的な半導体不足が解消に向かい、生産台数、販売台数ともに大きく増加した。24年は日米欧を中心に新車需要の鈍化やBEV(バッテリーEV)需要の減速が見られたものの、中国市場やインド市場などがけん引し、世界販売台数は着実に増加した。

 国際自動車工業連合会(OICA)によると、24年の世界新車販売台数は前年比2.7%増の9531万台、生産台数は同1.1%減の9250万台となり、ともにコロナ禍前の19年水準とほぼ同等の過去最高レベルとなった。

 25年の自動車世界市場は、年初時点では日米欧市場の需要低迷継続や、米トランプ政権の相互関税が市場に与える影響などへの懸念が強く、前年比マイナスとの予測も多かった。ただ、結果的には中国市場やアジア市場などがけん引し、生産・販売台数はほぼ24年と同水準を維持した見込み。特に中国のEV(電気自動車)生産が大きく増加したほか、BEVが低迷した日米欧市場でも、HEV(ハイブリッド車)やPHV(プラグインハイブリッド車)を含むxEV全体の需要は堅調だった。

 26年の自動車世界市場は、日米欧でEV低迷が続き、特に米国で一段のEV離れも予想されるものの、引き続き中国やインド、その他新興国市場などがけん引し、グローバル全体の自動車販売台数は前年比で横ばいから微増が見込まれている。

 一方、世界の車載用電子部品需要は、ADASや自動運転技術などによる車の高機能化・高性能化が進むことで、今後も安定的な成長が予想されている。自動車生産台数の伸びを上回るペースでの需要増加が見込まれる。直近では、日系や欧米系自動車メーカーによるBEV投資の縮小、BEV開発プロジェクトの中止・変更などが相次ぎ、電子部品メーカーの車載ビジネスにもマイナス影響を与えている。このため、部品各社は顧客の開発動向などを慎重に見極めながら、長期視点で技術開発に注力している。

大変革期を迎える自動車市場
 現在の自動車市場は、CASE(コネクテッド、オートノマス、シェアード&サービス、エレクトリック)やMaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)、SDV(ソフトウエア・ディファインド・ビークル)などをメガトレンドとする大変革期を迎えている。

 特に「電動化」は、世界的な脱炭素、カーボンニュートラルの潮流の中で、今後も一層重要性を増す。昨今のイラン情勢に伴うホルムズ海峡の不安定化によるガソリン価格高騰も、今後のBEV見直しにつながる可能性がある。

 「オートノマス」では、高度自動運転車や完全自動運転車の実現に向けた技術開発に拍車がかかっている。特に米国や中国では自動運転タクシーなどの実証が大きく進展しており、

日本でも一部地域で自動運転レベル4の実証実験などが始まっている。世界的に物流ドライバー不足などが深刻さを増す中、社会課題の解決に向けた大きなテーマの一つとして、自動運転技術の重要性はさらに高まる。

 今後の新車開発では、自動車の高機能化に伴い、自動車全体を制御する統合ECUを中核とした新たなアーキテクチャーの導入も広がる見通しだ。統合ECUや車載HPC(ハイパフォーマンスコンピューター)向けに、高性能なデバイス開発も求められている。

 電子部品各社は、こうした動きに対応するため、センサーや通信デバイス、高速伝送用部品、小型・大容量の回路部品、ノイズ対策部品、複合モジュールなどの開発を加速させている。ソフトウエアやAI(人工知能)などを組み合わせたソリューション提案にも力を入れる。

 電子部品各社による生産・供給体制強化に向けた設備投資も活発だ。各社は日米欧などの主要OEMやTier1メーカー、中国系有力EVメーカーに対し、顧客の近場での供給や技術サポートを強化することで、顧客満足度の向上と事業展開のスピードアップを図る。

 顧客別戦略では、急成長が続くインドの自動車市場への展開も重視されている。インドに進出する外資系自動車メーカーや、インドの地場自動車メーカーへのデザインイン活動に力を注ぐ。

 一方、今年はイラン情勢の変化や米トランプ政権による新たな自動車関税の発表など、サプライチェーンを巡る不確定要素も多い。昨今の金属価格高騰や半導体メモリー価格高騰に加え、ナフサ由来の樹脂材料の価格高騰や調達不安などの不安定材料もある。このため、部品各社はこれまで以上に顧客動向や市場動向に関する情報収集活動を強化し、的確な経営判断につなげる計画だ。