2026.05.27 KDDI、ドコモが共用中継器開発 ミリ波エリアを効率拡大 今夏、上野公園で実証へ

  KDDIとNTTドコモは、ミリ波エリアを効率的に拡大する共用中継器を開発した。京セラの協力を得て、5月20日に開発を完了した。今夏から上野恩賜公園(東京)で同中継器を使った実証実験を始める。

 共用中継器は、KDDIとドコモのミリ波基地局から届く電波を1台で中継できる。両社は実証を通じて、ミリ波エリアの拡大効果や通信品質、通信速度、設備コスト削減、設置性向上などを検証する。

 5G通信では、ミリ波の広い帯域幅を活用することで、高速・大容量通信を実現できる。一方、ミリ波は電波の直進性が強く、遮る物の影響を受けやすい。このため、面的なエリアを形成するには多くの基地局が必要となる。

 今回開発した中継器は、従来は特定の通信事業者1社の電波だけを中継していた京セラ製中継器を基にした。装置の筐体を変えず、事業者ごとに個別実装が必要だったフィルターや増幅回路を共用化し、両社の信号を同時に中継できるよう機能を拡張した。

 基地局から届く信号の向きや強さの違いによる通信品質のばらつきを抑えるため、事業者ごとの信号を検出し、両社に最適なアンテナ面を選ぶ機能も備えた。各社が個別に施工する場合に比べ、施工費や設置スペースの削減が見込める。

 中継器は、各アンテナでドナー面とサービス面の両機能を備える。ミリ波基地局から受信したアンテナ面をドナー面とし、その他のアンテナをサービス面として動的に切り替えることで、自律的なエリア形成と効率的な拡張を可能にする。中継器同士が網目状につながり、メッシュ状のエリア構築にも対応する。

 複数方向から受信するミリ波電波のうち、最も無線品質の良い中継ルートを選ぶ機能も備えた。基地局や隣接する中継器からの信号劣化を検知した場合、最適な中継ルートを計算し、瞬時に切り替える。建物建設や樹木の繁茂などで中継ルートが遮られた場合も、自律的に最適化する。

 中継器は縦216mm、横216mm、高さ246mm、重さ4.9kg。一般的なミリ波用基地局に比べ、大きさと重さを約7割削減した。街路灯などへの設置を可能にし、景観や環境への負荷も低減する。

 両社は、多くの人が訪れ、十分なエリア品質と容量の確保が求められる上野公園を実証エリアに選んだ。KDDIとドコモそれぞれのミリ波基地局からの電波を中継し、両社のミリ波エリア拡大に向けた実用化評価を進める。