2026.07.27 【半導体総合/エレクトロニクス商社特集】エレ商社、産機の在庫調整収束の声 半導体製造装置がけん引
日本の電子産業市場では、コロナ禍で自動車、産業機器(産機)関連メーカーがサプライチェーン(供給網)不安定化に備え半導体確保を急いだ反動もあり、長い在庫調整局面が続いた。ただ2026年に入り流通を担うエレクトロニクス商社では産機の顧客が調整を終えたとする声が増え、バッテリー電気自動車(BEV)の回復時期の見通しがなお固まらないことと対照的だ。
産機のけん引役は半導体製造装置。データセンター(DC)で稼働する人工知能(AI)は機能を獲得する「訓練」を上回る勢いで実際のサービスで機能を発揮する「推論」需要が伸び、GPUなど計算を担う先端ロジック半導体を追い抜き高帯域幅メモリー(HBM)など情報の記憶を担う先端メモリー半導体の導入が加速。供給を急ぐ米国半導体メーカーの日本工場や韓国メーカーは先進の製造装置を求める。HBM関連は検査装置の伸びが著しい。
日本半導体製造装置協会(SEAJ)によると日本製半導体製造装置の輸出を含む販売額(3カ月移動平均)は6月の速報値が前年同月比26.9%増の5136億1000万円と、4カ月連続で伸び率が2桁台。4月に3カ月移動平均が統計上初めて5000億円を超えて以降、同水準を下回らない。日本製装置は円建て取引も多く、為替影響のみで急激に上振れする可能性は低い。
26年度の日本製装置販売高は前年度比26%増の6兆5502億円との予測。27年度もAIサーバー向けの半導体需要は旺盛で新規工場の建屋が順次完成し装置を搬入できる環境も整うため13%増の7兆4017億円、28年度も同5%増の7兆7718億円とした。
中国は米国との摩擦から政府主導で進む半導体製造装置の内製化が進むが、部品はなお日本に多く依存し、より高性能なアナログ集積回路(IC)やパワー半導体、サーボモーターをはじめとする電子部品への需要がある。
一方で、先進製造装置が稼働しメモリー生産がHBMなどに偏るほど汎用品が不足。商材の仕入れや顧客の製品生産に影響し、26年後半以降は需要でなく供給の課題が大きくなるとの見立てで各社の見解は一致する。貴金属など原料高騰の波及を指摘する声も多い。一部商社は米国が中国製メモリーの大規模調達を許容するかにも関心を寄せる。

また日本の半導体メーカーが再編後に取引先の商社を集約する流れは26年に至ってもやまず、商社間の経営統合も続く。商社ごとに取り扱う商材や販売先を厳格に定める慣行は変わらない中で、商社はより自由度が高い事業として複数の商材を組み合わせ顧客課題の解決を図るソリューションへの傾斜を強める。大手を中心としたサイバーセキュリティーの取り扱いは顕著な成功例で、オフィスなどITシステムを守る分野で侵入阻止だけでなく被害抑制を含む多層防御が主役だ。各社は高性能AIによる攻撃、防御双方の高度化に対し陳腐化しない製品、サービスを用意できる考え。工場を制御するOTシステムもITとの連携が強まり接続部分での対策に重要性が増すとも見通す。
AI関連の商材に目を転じると、オフィス業務効率化に始まり、現実の環境を仮想空間に再現するデジタルツインと一体の研究開発、製品へのAI搭載まで商社の取り扱いは多様。生産、物流設備の監視も進む。蓄積する情報の解析需要やAIの進歩もにらみ長期支援を行うリカーリングサービスとして継続した売り上げを積み増せるかも焦点となる。









