2026.09.08 オムロン、先端半導体の歩留まり向上支援 3D-CT X-rayとデジタルツイン活用 R&Dから量産まで品質データを一貫活用
先端パッケージングでの品質データ活用について語るASEの陳仁君博士のインタビュー映像
【台北】AI(人工知能)コンピューティング需要の急増を背景に、ガラス基板(TGV)、マイクロバンプ、チップレットなど先端パッケージング技術の進化が加速している。これに伴い、非破壊検査は単なる品質管理の工程から、製造プロセスを最適化するための重要な役割へと進化している。
オムロンは「SEMICON Taiwan 2026」で、「Sensing & Control + Think(センシング&コントロール+思考)」のコアコンセプトのもと、主要3事業部門を統合して出展した。会場では、自動検査装置のT型3D-CT X-ray検査装置、NVIDIA Omniverseを活用したデジタルツイン、セミコンダクターインキュベーションセンター(SIC)による高度なウエハー・パネル搬送ソリューションを紹介した。
また、AI時代に品質データを半導体のR&Dから量産工程までどのように活用すべきかをテーマに、台湾の半導体後工程大手ASE(Advanced Semiconductor Engineering Inc.)のCorporate R&D / MPDD Senior Director、陳仁君博士によるインタビュー映像も放映した。
先端パッケージング開発では、最高解像度が求められる研究開発(R&D)段階の解析と、高いスループットが優先される量産段階で、検査基準が異なることが課題となる。オムロンは、R&Dから量産まで一貫した品質データパイプラインを構築することで、この課題の解決を図る。
R&D段階では詳細な3D-CTデータを収集し、より精度の高いプロセスウィンドウを定義する。量産工程への移行後は、リスクの高い欠陥領域に検査を集中させることで、歩留まりと生産ラインのスループットを最大化する。
インタビューでASEの陳博士は「先端パッケージングの品質データは、もはや単なる合否判定の結果にとどまらず、戦略的な技術意思決定を推進するための重要な根拠」と指摘した。「測定できないものは管理できない」との考え方に基づき、高信頼な3D形状や欠陥データを取得することで、R&Dチームはゼロから開発をやり直すことなく、検証済みの基盤の上で迅速に開発を積み重ねることが可能となり、プロセス開発から市場投入までの時間を大幅に短縮できるという。
パネルレベルパッケージングやガラス基板のプロセスでは、異種材料間の熱膨張係数の違いにより、ワーページ(Warpage)、未融合(Cold Joint)、内部の微小ボイド(Void)が発生する。光学AOIでは表面の特徴しか検査できず、2D X線検査では複雑な3D内部構造を捉えるために必要な深さ方向の解像度が不足する。
オムロンの3D-CT X-ray非破壊検査システムは、高機能化する半導体チップを損傷させることなく、多層化された内部構造を撮像し、接合不良や微小ボイドなどを可視化、定量化する。これにより、機能試験は通過するものの、製品使用時の物理的な変化によって生じる潜在的な不具合リスクを発見できる。
検査装置に加え、パネル搬送、センシング、安全制御ソリューションも出展した。これらの搬送機構をビジョンや3D-CT X-ray検査システムと高度に統合することで、より効率的で安定した半導体製造プロセスの実現を支援する。
OpenUSDを基盤とするNVIDIA Omniverseとの協業では、さまざまな条件下で取得する膨大な検査データに意味情報を付与し、AIによる活用や検索が可能なデータ基盤の構築を支援する。製造パラメーターをデジタルツイン空間に統合することで、エンジニアは自然言語推論を使い、母国語などの自然言語による対話形式でAIモデルとやり取りできるようになる。
さらに、機器の動作や画像データを解析するVSS(Video Search & Summarization)を組み込むことで、製造現場を「受動的な不具合検出」から「根本原因の特定とプロセス最適化」へ移行することも可能になる。
台湾のファウンドリーやOSATの大手企業が、日本、米国、東南アジアで製造拠点の構築を積極化する中、オムロンは確立したグローバルネットワークを通じ、各社の世界戦略を支援していく。










