2026.09.24 タイ政府、AI普及策を推進 通信3社と協力し低価格データプランの提供へ

AI導入を推進するチャイチャノック・チットチョブ大臣AI導入を推進するチャイチャノック・チットチョブ大臣

 タイ政府が総額16億バーツ(約75億円)を投じて8月末に開始した全国のAI(人工知能)利用促進策「TH-AIパスポート」が、通信各社の協力を得て立て直しを進めている。事業は、開始3週間で150万人が登録するなど順調な滑り出しを見せたが、利用時のデータ通信量増加への懸念から新規利用が伸び悩んでいた。

 こうした状況を受け、国内通信大手アドバンスト・インフォサービス(AIS)、トゥルー(True)、国営のナショナル・テレコム(NT)の3社が相次いで専用の低価格データプランを提供する方針を示した。

 先陣を切ったAISは、月額29バーツ(約136円)でアプリ内データを無制限利用できる専用プランを発表。最大500万人まで1年間支援可能とし、政府の想定利用規模を満たす内容となっている。Trueも同水準の料金プランを準備中で、NTは10月1日から販売を開始する予定だ。デジタル経済社会省(DES)のチャイチャノック・チットチョブ大臣は、学生を中心に「AI利用はデータ消費が多く、料金負担が障壁になっている」と指摘し、通信各社と協議を進めてきたと説明した。

 タイの通信市場では、AISとTrueの2社が計9600万契約を占める一方、NTは地方を中心に150万契約を保有し、約9割がプリペイド(前払い)利用者とされる。TH-AIパスポートでは米国や中国企業を中心とした14社の約30モデルが利用可能で、一般向けAIアクセス拡大を狙う。

 アジアでは同様の取り組みが広がっており、韓国政府はSKテレコム、KT、Kakao(カカオ)を中心とした大規模AI事業を開始。公共サービスや金融、決済と連携する「エージェント型AI」の提供を目指し、総額2500億ウォン(約284億円)を投じる計画だ。

 タイのAI普及策は、通信各社の支援により再び勢いを取り戻す可能性があり、アジア地域で進むAIアクセス拡大の一例として注目される。