2026.10.14 米AT&T、20億ドルでメキシコ事業を売却 米国への投資に集中

メキシコ事業を売却し米国事業に集中するAT&Tのジョン・スタンキー会長メキシコ事業を売却し米国事業に集中するAT&Tのジョン・スタンキー会長

 米通信大手のAT&Tは13日、メキシコの携帯通信事業「AT&T Mexico」を、メキシコのメディア大手グルッポ・テレビサと投資会社フィンテック・ホールディングス に20億ドル(約3000億円)で売却することで合意したと発表した。売却代金は、現金で支払われる予定で、規制当局の承認などを経て取引が完了する見通し。

 AT&Tは近年、米国内市場への経営資源集中を進めており、高速通信規格5Gや光ファイバー網への投資を拡大している。ジョン・スタンキー会長は、「AI(人工知能)時代の基盤となる通信ネットワークの構築に向け、資本配分を米国市場の成長機会に集中させる長期戦略に沿った決定だ」と述べた。

 グルッポ・テレビサは、もともとメキシコ最大級の放送・メディア企業だったが、現在は放送だけでなく通信事業に参入している複合企業。特に傘下には「izzi」(光回線ブロードバンド、固定電話、ケーブルテレビ、携帯サービス)、「Sky メヒコ」(衛星放送、固定無線ブロードバンド)、「Bestel」(法人向け通信サービス)を持ち、メキシコの有力通信事業者の一つとして事業展開している。

 AT&Tは、2015年にメキシコ市場へ本格参入し、同国有数の携帯通信事業者へと成長させてきた。一方、新たな買い手となるテレビサは固定通信・ブロードバンド事業で強固な基盤を持ち、フィンテック・ホールディングスは地元市場に関する知見や投資資金を提供する。AT&Tは、両社が事業の次の成長段階を担うのに適しているとの見方を示した。

 AT&Tのメキシコ事業の2025年売上高は44億ドルで、加入者数は2470万人を抱える同国第2位の携帯通信事業者。今回の売却は、米通信業界で進む事業選択と集中の流れを象徴する動きとして注目される。