2020.07.30 【電子部品技術総合特集】5G用回路部品MLCCの小型、大容量化が進展
5G向けの基地局、端末用の回路部品需要が伸びる
第5世代高速通信規格(5G)の運用が始まった。高周波技術を生かした高速、大容量、低遅延、多点接続などを特徴にスマートフォンへの展開だけにとどまらず、IoTをはじめ自動車、FAなど、あらゆる分野に波及し、提供するサービスが広がる。電子部品業界としては基地局、端末などを巡って新たな部品市場を形成することになる。
5G用基地局は、小型基地局(スモールセル)を近距離間で数多く設置する。そのため、基地局用部品も小型であることが必須の条件。しかも実装密度が高まるために耐熱性に優れ、耐湿など耐環境性も同時に求められる。さらにメンテナンスフリー化に対応し、高信頼性、長寿命化も必要不可欠。
コンデンサは、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の小型、大容量化技術が進展。アルミ電解コンデンサは、小型、大容量化、125度以上の対応のチップタイプの開発に加え、低ESRを特徴とする導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、さらには135度対応の導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサといった固体電解コンデンサの採用が活発化する見通し。
抵抗器は、抵抗値精度、抵抗温度係数、経年変化などに優れた厚膜、薄膜のチップ抵抗器、さらに耐環境性を配慮した耐硫化チップ、耐サージチップといった高機能抵抗器が求められている。電源回路では、シャント抵抗器や高電力チップ抵抗器なども用いられる。
5G端末では、高速、大容量の特徴を生かして、高機能化に加速をつける。そのため、MEMS技術を使った様々なセンサーの搭載点数が増えることになろう。
また、必然と高密度実装化し、部品に対して一段と小型化と高機能モジュール化を要求することになる。MLCC、インダクタ、抵抗器など主要回路部品は、0603サイズ、0402サイズといった極小チップの搭載化率が高まる。
プリント配線板は、次世代製造プロセスであるMSAP(モディファイド・セミアディティブプロセス)の採用が本格化する見通し。L/S=30マイクロメートル/30マイクロメートル以下への微細パターン化が可能。