2020.08.19 【コネクタ特集】中長期戦略を一段と強化次世代ニーズとらえる
コネクタメーカー各社は、中長期の成長に向けた戦略を一段と強化している。第5世代高速通信規格5GやIoT、AI(人工知能)などの新潮流が到来する中、携帯端末や自動車、産業機器/インフラなど、あらゆる分野で技術革新や市場変革が進む。現在のコロナ禍も、これらデジタル変革の動きを一層加速させることが予想される。各社は、次世代ニーズに向けたR&Dや、グローバルでの営業・マーケティング活動を強化し、今後も中長期での事業拡大を目指す。
7-9月から回復
コネクタのグローバル需要は、世界経済成長の波に乗り、13年から18年の長期にわたって拡大基調が続いた。
米調査会社B&Aのリポートによると、世界のコネクタ市場は、17、18年と2年連続で2桁成長を達成した。JEITAが発表している日系電子部品メーカーのグローバル出荷統計においても、17年度(17年4月-18年3月)のコネクタ出荷額は前年比13%増と、あらゆる電子部品品目の中でも高い伸び率を示した。
一方、18年秋以降、米中貿易摩擦の深刻化や中国経済の停滞などにより需要は軟化。19年も米中摩擦の長期化に伴う自動車需要や設備投資需要の低迷が続き、年間を通して軟調に推移した。
20年のコネクタ需要は、もともと年前半は慎重な見方が強く、年央から後半にかけて緩やかな回復が予想されていた。しかし、年明け後の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が市場に大きな影響を与え、先行きの不透明さを強めている。
そうした中にあっても、コロナ禍に伴う需要減少は4-6月期で底入れしたと見られており、7-9月期からの回復基調継続が期待されている。
近年のコネクタ市場の成長を支えているのは、分野別では電子化/電動化が進む自動車や、自動化・省人化ニーズを背景とした産機/FA分野だ。民生系では、スマートフォンの高機能化やウエアラブル端末市場の成長が、小型・高性能コネクタの需要を押し上げている。
足元のコネクタ需要は、コロナ禍に伴う巣ごもり需要やリモート関連需要などから、ノートPCやタブレット端末向けなどが好調に推移する一方で、自動車や設備投資関連の需要は低迷。
特に自動車に関しては、コロナ以前の水準への需要回復には時間がかかると予想されている。
技術革新が進展
しかしながら、コネクタの主要マーケットである自動車、産業機器、携帯端末、通信インフラといった産業分野では、いずれも大きな技術革新が進んでいる。こうした技術革新の進展が、コネクタの中長期の需要を一層活性化させることが予想される。
中でも、多くのコネクタメーカーがフォーカスする「CASE(コネクテッド/オートノマス/シェアード&サービス/エレクトリック)」をキーワードとした車の進化は、新たな高付加価値コネクタの新規需要を中長期的に創出するものといえる。
産業機器/ロボット関連においては、AIやコネクテッドインダストリーなどをキーワードとした技術革新が、付加価値の高いコネクタの需要を押し上げていく。同時に、5G基地局の導入拡大や、通信容量急増に伴うデータセンター需要の増加などが、産機用コネクタの需要を拡大する。
コンシューマ系では、5Gスマホの普及拡大やウエアラブル機器の成長が、今後もコネクタ需要をけん引していくことが有望視されているほか、医療/ヘルスケア関連や4K・8K放送システム、画像認識技術の高度化などに伴う需要増も期待される。
IT・エレクトロニクス技術が高度化して、多様な産業分野で電子化やネットワーク化、大容量高速伝送化が進んでおり、コネクタの重要性が一段と増している。
コネクタメーカー各社は、中長期視点に立った技術戦略やマーケティング戦略を強化し、今後も継続的な成長を目指す。