2020.08.27 【化学材料特集】東京応化工業30年に向けた長期ビジョン策定
先端フォトレジスト
東京応化工業は先頃、30年に向けた長期ビジョン「TOK Ⅴision2030」を策定した。様々な社会環境の変化に対し、今後も電子材料を通じて未来への価値創造に貢献していく。30年度(30年12月期)に向けて、売上高2000億円、EBITDA450億円、ROE10%以上を目指す。
長期ビジョン策定と合わせ、30年に向けた新たな経営ビジョン「豊かな未来、社会の期待に化学で応える『The e-Material Global Company』」を策定した。
同社は、今後の10年間はこれまでをはるかに超える社会環境の変化が起こると想定。5Gによる通信革命を起爆剤とする多様な分野でのイノベーションや、様々な社会的課題の解決への貢献を目指していく。
30年に向けた経営戦略として「社会的重要課題への持続的な取り組み」「電子材料分野の深耕と開拓」「新規事業創出」「財務基盤整備とその有効活用」「DXの推進」「生産拠点リノベーション」「グローバル人材活用」の七つの戦略を掲げる。これにより、設立100周年を迎える40年を視野に、100年企業への継承にもつなげていく。
同社の20年度中間決算(1-6月)は、半導体フォトレジストや高純度化学薬品の販売増などにより、売上高が前年同期比16.9%増の572億300万円、営業利益が同50.5%増の66億6400万円と大幅な増収増益となった。
1-6月期は、データサーバー向けなどで半導体需要が堅調に推移したことから、韓国・台湾地域での半導体フォトレジストや、高密度実装材料の販売が大幅に増加した。半導体レジストの種類別では、KrFレジストなどが当初計画から上振れたほか、EUVレジストも韓国・台湾地域で増加した。
高純度化学薬品も、台湾向けの最先端半導体製造プロセスに使用される半導体用フォトレジスト付属薬品の販売が好調だった。
中間決算発表に先立ち、7月28日に通期の連結業績予想を上方修正。今年度通期業績は、売上高・営業利益ともに過去最高の更新を見込む。通期の設備投資計画も期初計画比12億円増の68億円に増額修正した。
19年度からスタートした中期計画「tok中期計画2021」(3ヵ年)では、「5G・IoT&Innovation」に求められる技術開発にチャレンジし、事業ポートフォリオの変革を図り、成長軌道への回帰を目指している。
同中計では、成長ドライバーに「5G」「AI」「パワーマネジメント」を掲げ、データ処理速度のさらなる高速化やセンシングデバイスの機能進化、ストレージの高容量化、パワーデバイス市場の拡大などに対応するための技術開発に努めている。
半導体デバイスの進化に伴う材料の品質要求の高まりに対応するため、相模事業所の研究開発棟に建設したのは、危険物対応のスーパークリーンルーム。これを活用し、顧客が求める高品質のフォトレジストや表面処理剤の供給につなげる。