2020.08.27 【化学材料特集】JFEケミカル高品質のフェライトコア安定供給

フェライトコア

JFEケミカルは、エレクトロニクス市場向けに、様々な機能性材料(フェライト、車載LIB用負極材、精密化学品など)を製造販売している。JFEスチールの製鉄工程で得られる高品質な副生品の安定調達を強みに、原料からの一貫生産を行い、高特性で高品質の製品を低コストで安定供給している。

 フェライトは、JFEスチールの製鉄所で副生される酸化鉄を活用し、原料から製品までの一貫生産体制を整備。高純度酸化鉄の自社生産により、高品質のフェライトコアを安定供給している。

 特にマンガン系フェライトコアでは日系外販メーカーでトップシェアを確保。今後はEV/HEV/PHEVなどに搭載されるDC-DCコンバータやインバータなど、より高い特性が求められる車載への展開強化のため、倉敷工場で今年度中の稼働を目指し新規設備を建設中だ。

 タイや中国にも工場を持ち、海外でも車載市場展開を図っている。タイ工場は車載市場向け製品の生産が好調に増加しており、中国工場はDC-DCコンバータ用フェライトコアの生産・供給を昨年12月から開始した。

 LIB用負極材は、JFEスチール製鉄所の副生品コールタールから製造したピッチを原料に、安定的な生産・供給を行う。同社は90年代から民生LIB向けを中心に長年、LIB用負極材を手がけてきたが、今後は車載LIB向けのビジネスを大きく拡大させていく方針。定置型電池での拡大も見込む。

 同社は、MCMBと呼ばれるピッチを原料とした人造黒鉛を最初に手がけ、被覆天然黒鉛、ハードカーボンも新たに加えてきた。最近では中国の宝武グループとの合弁で、ニードルコークスを原料とした負極材事業の立ち上げ中。これが実現すればほぼ全種類の負極材が製造可能になる。

 また、スタートアップ企業のAPB社への出資により、全樹脂電池への負極材(ハードカーボン)の供給を計画している。今春にはAPBへの追加出資も実施した。全樹脂電池は従来の液系電池にはない優れた特性を持ち、将来の伸びが期待される。

 精密化学品の基盤事業は、製鉄副産物コールタール中の希少成分の有効利用。インデン誘導体は世界トップ、フルオレン誘導体も国内最大。光学樹脂、レジストの材料として、カスタマイズ製品の提供を行う。

 さらに、芳香族化合技術を生かし事業領域拡大に努めている。一つはポリイミド材料。原料から前駆体であるワニスまで対応できる体制を取り、電子基板、複写機用ベルト、電池セパレータ向けに展開する。

 アセナフチレンや特殊フェノール樹脂は樹脂改質材として半導体や電子基板の高性能化に寄与。いずれも高耐熱性と低誘電損失が求められる5G、EVなどの最先端分野に適した特性を有し、車載用途、高速通信アンテナ、パワーデバイス、レジスト材料用に積極的な開発とアピールを進める。新規なフェノール誘導体や特殊ポリイミドモノマーも商品開発中。