2020.10.01 【自動車用部品および関連技術特集】ザイリンクスとコンチネンタルが協業自動運転用4Dイメージングレーダーで
4D Imaging lader
【はじめに】
自動運転の実現に向け、各種センサーやミリ波レーダー、LiDARなど様々なデバイスの開発が進んでいる。国内でも公道で自動運転レベル3の自動運転が解禁されるなど、自動運転技術の実車搭載も着実に進展している。
ザイリンクスとコンチネンタルはこのたび、コンチネンタルの新しい「アドバンストレーダーセンサー(ARS)540」に、Zynq UltraScale+ MPSoCプラットフォームを搭載し、オートモーティブ業界初の実稼働可能な4Dイメージングレーダーを開発すると発表した。この協業により、ARS540を搭載して新しく製造される車で自動運転レベル2の機能が実現し、レベル5の自動運転システムの実用化への道が開かれる。
【4Dイメージングレーダーについて】
4Dイメージングレーダーは物体の位置を距離、方位角、仰角、相対速度で判定するため、距離、速度と方位角のみによる従来の車載レーダーシステムでは得られない詳細な走行環境情報を提供できる。
コンチネンタルのARS540は高解像度と300メートルのレンジを誇るプレミアムな長距離4Dイメージングレーダー。プラスマイナス60度の広い視野により、運転中にMHT(Multiple Hypothesis Tracking=航跡型)方式による高精度な予測が可能となる。これは橋の下の渋滞を検知するなど、複雑な運転シナリオを管理する上で不可欠な要素である。さらに、ARS540システムは水平および垂直解像度が高いため、道路上にある潜在的に危険な物体を検知し適切に対応できる。運転者が車両制御を監視する自動運転レベル2から、さらに完全自動運転のレベル5まで拡張でき、ARS540はセンサーのスケーラブルな使用法を示す。
【ザイリンクスのZynq Ultra Scale+ MPSoCプラットフォーム】
ザイリンクスのオートモーティブ向けZynq Ultra Scale+ MPSoCは、適応性に優れたプラットフォーム。コンチネンタルの4Dイメージングレーダーが複数のセンサープラットフォーム構成に依存せず、OEMの仕様に適用できるようにする。デバイスのプログラマブルロジック内での並列処理は、ARS540の4Dセンシングに不可欠な理想的な性能と、完全に独立していながら同時実行可能な処理パイプラインを実現する。また、豊富なデジタル信号処理(DSP)スライスにより、レーザーセンサーからの入力データのリアルタイム処理を高速化する。
ザイリンクスのZynq Ultra Scale+ MPSoCプラットフォームは、コンチネンタルのARS540を実現するために必要な高い性能と高度なDSP機能を備えている。さらに高い適応性と市場トップクラスの多様なネットワークインターフェイスに対応しており、幅広いアンテナデータを極めて高い総転送速度で扱うことができる。
【今後の市場見通し】
4Dイメージングレーダーは今後、高級車やロボタクシーへの採用が見込まれる。Yole Developpementの調べでは、2020-2025年の年平均成長率は124%、市場規模は5億5000万ドルを超えると予想している。ザイリンクスとコンチネンタルという業界をリードする2社の協業により、新たなセンシング方式を開発することは、自動運転技術の高度化と市場拡大につながる。
【おわりに】
コンチネンタルのARS540の高度な機能は、先進的な技術を自動車にもたらし自動運転の普及を加速させる。業界初となる量産対応の4Dイメージングレーダーにザイリンクスの技術が搭載されることで、リアルタイム処理を高速化し、センシング技術の高度化を後押しする。