2020.10.07 事務機大手、海外ベンダーとの連携本格化高付加価値化と海外深耕

各社では海外ベンターとも連携し、多様な印刷ニーズに応える

 事務機大手各社が、オフィス分野や商業・産業印刷分野で、海外ベンダーとの連携を本格化させている。その狙いは、エコシステムの強化による事業戦略の高付加価値化、売上げの約7割を占める海外市場のさらなる開拓、深耕にある。

 富士ゼロックスは、米国のロボティクスAI(人工知能)技術を持つリップコード社(カリフォルニア州)と「富士フイルムリップコード」を折半出資(資本金1億円)で設立、このほど事業を開始した。新会社では、富士ゼロックスの文書電子化技術、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)ノウハウと、リップコード社の、ロボットを使って書類を電子化する技術を融合させ、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)を支援する。

 リップコード社はロボットやソフトウエア、AIを使い、レコードマネジメント、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、MPS(マネージド・プリント・サービス)、コンテンツマネジメントで急成長してきたスタートアップ企業。紙媒体をスキャンし、インデックス化、分類することで、クラウド上での検索が可能になる。

 富士ゼロックスは米DocuSign(ドキュサイン)社とパートナーシップを締結しているが、今回の新たな連携で電子化ソリューションを強化する。

 コニカミノルタは、産業印刷事業を成長事業と位置付けており、「コロナ禍で、産業印刷の一部領域では一時的に需要の停滞が発生しているものの、中長期的には、産業印刷の需要はこれまで以上にオンデマンドにシフトし、アナログからデジタルへのシフトが加速する」(同社)と見る。

 このほど、デジタル方式の高付加価値印刷機器メーカーでは業界トップのMGI社(フランス)へ追加出資を行った。コニカミノルタは、MGI社のパッケージ用厚紙にも印刷可能な「アキュリオ ジェットKM-1e」を販売するなどアライアンスを強化してきた。今後、産業印刷企業の戦略を拡充するため、MGI社に追加出資し、出資比率を42・3%に引き上げた。

 リコーは、欧州でのオフィスサービス強化を図っている。欧州市場でのアプリケーションサービス/コミュニケーションサービスとITサービスを合わせた20年のオフィスサービス売上げで、前年比15%増の1106億円を計画する。

 同社はポーランドに、シェアードサービスを提供するネットワーク オペレーション センターを設置し欧州の顧客へのサポート体制などを強化。これを基盤に、新たにリモートワークなどを可能にするサービスパッケージ「Work Together Anywhere」の提供を開始した。

 キヤノンは、プロダクションプリンティング関連分野で世界的なベンダーのオセ(オランダ)をグループ化。1月からオセの全ての製品をキヤノンブランドに統合しており、世界市場での商業印刷事業の成長を加速させる。

 セイコーエプソンは、強みとするインクジェット技術を生かし、デジタル捺染にいち早く取り組んできた。イタリアのフォルテックス社、ロブステリ社をグループ化するとともに、日本とイタリアの2拠点から製品・サービスを提供する体制を強化している。