2020.10.09 【テレビ特集】 巣ごもり需要で販売堅調 パナソニックの主力製品

大画面高画質テレビの訴求が本格化

4K有機ELテレビ「HZ2000シリーズ」4K有機ELテレビ「HZ2000シリーズ」

 国内のテレビ市場が堅調だ。新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛により、家庭内でテレビを視聴する時間が増えていることも追い風になっている。高精細4Kテレビを中心にした大画面高画質テレビの買い替えだけでなく、寝室や書斎、子ども部屋などに2台目、3台目を購入する動きも出ており、ハイビジョンテレビの売れ行きも良い。

 今年はコロナの影響で、予定されていた東京オリンピック・パラリンピックが1年延期されるなど、スポーツイベントを契機にテレビの買い替えを促進しようとしていたメーカーにとっては苦戦が予想されたが、巣ごもりにより逆にテレビ市場は活況だ。11年のアナログ放送停波、エコポイント終了に伴う駆け込み需要で購入したテレビの買い替え時期になってきていることも後押ししている。

 電子情報技術産業協会(JEITA)による直近8月のテレビ出荷統計では、薄型テレビの出荷台数は前年同月比18.0%増の50万4000台になった。高精細4Kテレビは同26.3%増の28万9000台で、テレビ全体に占める4K比率は57.・2%、金額構成比は83.7%の411億円となった。特に4Kテレビは発売開始から累計で1000万台を超え、有機ELテレビは前年同月比67.3%増の4万9000台、134億円になった。

 主要各社もテレビの20年モデルを夏以降、市場に投入している。4Kテレビの最新モデルは18年12月開始の新4K衛星放送対応チューナ搭載が当たり前になり、AI(人工知能)の搭載も進んできている。インターネット動画などを簡単に視聴できるスマートテレビ機能も各社が搭載しており、放送波だけでなく幅広い映像コンテンツを高画質・高音質で楽しめるよう工夫されている。

 各社の新製品をみるとパナソニックは「4Kビエラ」シリーズで液晶と有機ELを展開し、いずれも画質と音質に磨きをかけた。有機ELは独自の高画質化技術でより自然に近い映像を再現。HZ1800シリーズは立体音響が楽しめる独自スピーカが好評だ。
 ソニーは「4Kブラビア」シリーズで多彩な画面サイズを展開。有機ELは画質だけでなく画面を振動させ音を出す独自の技術で究極の画音一体を実現。東芝映像ソリューションは、液晶と有機ELの「4Kレグザ」シリーズでクラウドのAIを使った高画質化技術を搭載。映像コンテンツに合わせて最適な画質調整をする。インターネット動画視聴機能を強化したハイビジョンモデルも投入した。
 シャープは超高精細8K液晶テレビ「アクオス8K」シリーズを前面に8Kの世界を訴求するとともに、今年は4Kで液晶に加え有機ELテレビを投入した。8Kで培った高画質化技術が組み込まれている。
 海外メーカーでは韓国LGエレクトロニクス・ジャパンが有機ELと液晶で、8Kと4Kのモデルを幅広く展開。中国ハイセンスの日本法人ハイセンスジャパンは新4K衛星放送チューナ内蔵の液晶テレビなど20年モデルを発売している。

4K有機ELビエラHZ2000シリーズ

臨場感あふれる画質・音質

 パナソニックは、「4Kビエラ」フラグシップモデルで高画質高音質が好評のGZ2000シリーズ後継モデルとして、今月16日から「HZ2000シリーズ」(TH-65HZ2000/同55HZ2000=BS4K・110度CS4KWチューナ内蔵)を発売する。

 HZ2000シリーズは、臨場感あふれる画質・音質にさらに磨きをかけ、「ホームビューイング」を徹底して追求した。

 画質面では、同社が独自に設計した構造や素材、パネル駆動を採用した「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」をGZ2000シリーズから継続して採用している。

 かつてのプラズマディスプレイで培った技術を研さんし、自社の工場で独自に設計、高精度に組み立てる。

 特別素材の放熱プレートと貼り付けシートなどを独自の構造で構成し、一般的な有機ELディスプレイよりも放熱性能を高めた。

 暗部の再現力を追求し、暗部諧調表現のわずかな乱れも低減し、業務用モニターに求められるようなプロフェッショナルクオリティに仕上げた。

 パネル制御には、Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイの性能に最適な調整を施す「Dot ContrastパネルコントローラーPro」を採用。新シリーズでは、明るさの分布まで解析し制御するアルゴリズムを新たに加え、暗いシーンでのコントラスト表現をより強化した。

 また、パネルの性能をフルに引き出して高画質処理する「AI HDRリマスター」も搭載、新画質処理アルゴリズムを採用しており、地上デジタル放送も新4K衛星放送も高コントラスト映像に変換させる。

 有機ELビエラ独自の信号処理技術「ヘキサクロマドライブ プラス」により、業務用のマスターモニターの精度に近い色再現力も実現する。

 音質面では、「イネーブルドスピーカー」と「Dolbyアトモス対応」で、映画館のような立体音響を実現する。

 3ウエイ+3・2ch+2chの音声実用最大出力(JEITA)140Wの迫力あるサウンド(DYNAMIC SOUND SYSTEM)と、テクニクスの開発陣によるチューニングにより、ノイズを抑えたクリアで上質なサウンドを実現している。

 スイーベル機能を搭載した地震に強く倒れにくい「転倒防止スタンド」も採用した。

 いずれもオープン価格だが、市場想定価格(税別)は65V型が49万円前後、55V型が35万円前後。