2020.10.09 シェアサイクル、小田急駅周辺で拡大ダイチャリ、MaaSの「ラストワンマイル」構想も

ダイチャリのステーション

 エネルギーソリューションを提供するシナネンホールディングスは、100%出資子会社「シナネンモビリティPLUS」(東京都港区)が手掛けるシェアサイクル事業で、小田急グループと連携し、グループの鉄道沿線に事業を展開する、と発表した。

 10月中旬から小田急電鉄の世田谷エリアの駅周辺に広げる。将来的には、次世代移動サービス「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」の一役を担う構想もあり、今後の推移が注目される。

 シナネンモビリティPLUSは、シェアサイクル事業の大手の一つ。ソフトバンクグループの「Open Street」(オープン・ストリート)と提携し、「ダイチャリ」のブランドで、首都圏などで事業展開してきた。

 今回は、小田急電鉄や小田急SCディベロップメント、小田急不動産と連携してサービスエリアを広げる。東京都内で鉄道会社と組むのは初めてという。

今回の連携のイメージ


 小田急グループが実現に向けて推進しているのが、MaaSだ。複数のモビリティの乗り継ぎや目的地での活動について、検索、予約から決済までを、一つのサービスのようにスムーズに利用できるように提供する。将来的に、シェアサイクルには駅から目的地までの「ラストワンマイル」をつなぐ役割が期待されている。

 「ダイチャリ」は、商業施設などに専用の無人駐輪場「ステーション」を設置し、電動アシスト付きのシェア自転車をインターネットを介して自由に借りたり、返却したりできる。事前に専用のアプリをダウンロードし、クレジットカードなどを登録しておけば、簡単に予約でき、15分70円から利用できる。

 オープン・ストリートが提供するプラットフォーム「HELLO CYCLING」に参加する事業者のステーションなら、どこに返却しても自由だ。

 今回、ステーションを設置するのは、周辺に住宅地が広がる東京都の世田谷エリア。小田急電鉄の成城学園前駅や祖師ケ谷大蔵駅、千歳船橋駅など7駅周辺の空きスペースなど10カ所を活用する。

 今後、順調にいけば、他エリアへの拡大も検討するという。駅を基点とした移動の利便性を高めたり、街の回遊性を向上させたりして、にぎわいづくりにも貢献できる。

 シナネングループは燃料の卸事業などの縁で、自転車の卸販売なども手掛けており、16年11月にシェアサイクル事業に参入。19年4月に、シナネンモビリティPLUSを設立して事業を本格化させた。

 首都圏の1都3県と大阪府を中心に展開しており、大手コンビニエンスストアや商業施設などにステーションを設置。20年9月末時点で約1400のステーションを設置し、自転車約6600台を運営している。

 シナネンホールディングス経営企画部は「ラストワンマイルを担うシェアサイクルの事業者として、地域の活性化にもつなげて、役立っていきたい」と話している。